小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第五十八話『一夏へのプレゼント』



Side〜一夏〜

俺はまたウリアとデートすることにした。
ウリアとなら何度デートしても楽しいからな。
それで、十時に集合にしたんだが、いつもの如く俺よりも先にいた。
まだ三十分前なのに先にいた。

「ねえねえ、カーノジョっ♪」

「今日暇? 今暇? どっか行こうよ〜」

そして、我が愛するウリアはいつもの如くナンパされていた。

「貴方たちは馬鹿ですか? ああ、馬鹿なんですね。 でないと待ち合わせをする人に声はかけませんか」

そして、これもまたいつもの如くウリアが毒を吐いていた。

「まったく、これだから今時の馬鹿は……。 もっと勉強しなさい。 ああ、勉強したけどこの体たらくなんですね。 私をナンパするくらいなら少しでも利口になりなさい。 まあ、その程度の悪足掻きをしたところで私が靡くなんて100%ありえませんが」

そして、これもいつものことなんだが……。

「テメェ! 俺たちが黙っているからって調子乗ってんじゃねえぞ!」

「女が俺たちを見下してんじゃねえよ! 風潮に乗ってるだけの女がよぉ!」

そのナンパをしてきた男が切れる。
そういえば、臨海学校以降のデートからこうなることが多くなったな。
まあ、ウリアが毒を吐くようになってからなんだけど。
ってか、ウリアは風潮になんか一切乗ってないし。
ウリアはそれを言うだけの努力もしてきているし、力も持っているからな。
正真正銘、ただの事実だ。
っと、ウリアがあんな奴らに触られて汚される前にぶっ飛ばすか。
あ〜あ、どうして殺っちゃ駄目なんだろうな。
ウリアを汚す奴は、存在する勝ち無いのに……。

「俺の女に手ぇ出してんじゃねえよ!」

俺はそう叫びながらそのチャラいの二人を纏めて蹴り飛ばす。
正確には、近い方を蹴飛ばしてもう一人が巻き込まれただけだ。
男二人は三メートルは飛んだな。
うん、俺も鍛えられてるな。
だが、まだまだだな。
せめて五メートルくらいぶっ飛んでくれないと。

「ごめんな。 いつも遅くなっちまって」

「いえ。 私が勝手に時間よりも先に来ただけですから、一夏は悪くありませんよ」

そして毎回こんな感じの会話から始まる。

「にしても、ウリアは本当に人気だな」

俺は俺がぶっ飛ばした二人の男を見下ろす。

「こんなのに好かれても困ります。 私は一夏やラウラ、千冬義姉さんと楽しく過ごせればそれでいいんですから」

「そっか。 まあ、とりあえずこいつらはいつもの人に受け渡そう」

「そうですね」

ウリアが毎回ナンパされ、そのたびに俺がぶっ飛ばしていたら、いつの間にか駅構内の派出所にいる中年の巡査部長とはすっかり顔馴染みになってしまっていた。
こんな顔馴染みは嬉しくないのだが、あの巡査部長は何度も似たようなことをする俺たちに悪い顔をせず、毎回『お疲れさん』といった表情で俺たちを哀れむようになっていた。
……なんだこれ。

ウリアが派出所に連絡をしてしばらくすると、いつもの中年巡査部長がやってきた。

「毎回大変だねぇ、織斑君」

「ええ、まあ」

すっかり顔馴染みになってしまっているので、こういった会話もある。
俺は毎回苦笑して返してばかりだ。

「さて、私はこれで行くよ。 また何かあったら派出所の方に連絡してくれ」

「はい。 いつもありがとうございます」

ウリアはいつものようにお礼をする。
巡査部長はチャラいの二人を連行していった。

「さて、俺たちも行くか」

「そうですね」

もう慣れてしまった俺たちは、何事もなかったかのようにデートを始めた。


Side〜一夏〜out


Side〜ウリア〜

「これなんてどうでしょうか?」

一夏の誕生日が今月の27日なので、少し早いですが誕生日プレゼントを買いに来たんです。
サプライズの方がいいんでしょうけど、一人でこっちへ来ると必ずナンパされて困るんです。
しかも力尽くで従わせてこようとするんですよ。
なので、私がこちらへ来るときは誰かと一緒に来ることにしてるんです。

「よくわからないけど、ウリアが選んだ奴なら何でもいいぜ」

私が持っているのは時計で、一夏が時計を持っていないということなのでプレゼントに時計を選んだんです。
ちなみに、ペアウォッチにするつもりです。
私たちって、こういったお揃いの物って買っていませんからね。
どうせなら買いたいじゃないですか。

「それならこれにしましょう。 これは私と一夏の機体と同じ白を基調にしてますし、悪くないと思います」

私の『サーヴァント』は元々白い機体で、一夏の『白式』はその名の通り白い機体ですからね。
一夏にはやっぱり白ですね。
あ、そういえば私の髪も白いですね。

「ははっ。 何か俺、白尽くめだな」

一夏は笑いながらそういいました。
確かにそうですけど、私は一夏には白が似合うと思うからこれにしたんですよね。
私はこの時計を包んでもらうと、私たちはデートを続けました。
お昼を食べたり、服を選んだり、充実した休日を満喫できました。


Side〜ウリア〜out



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