小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第六十一話『撃退と反省』



Side〜ウリア〜

一夏はどうやらセシリアを説得したようですね。
一夏主体でセシリアが援護射撃をしています。
にしても一夏のあの動き、魔力の流れからしてアレイスターの強化が施されていますね。
今の一夏と白式は通常時の倍並の力を発揮することが出来るでしょう。
ですが、一夏はここまで強力に強化された白式に慣れていないのが難点でしょう。
いくら一夏が強くとも、それを扱いきれなければ逆に危険です。
ですけど、現在の動きを見る限りでは問題は無いでしょう。

<観客は皆避難しました>

そこに、ハサンが報告をしてきました。

(わかりました。 ハサンたちは引き続き監視を)

<御意に>

さて、私も動きますか。
とりあえず、スコールは逃げられる(行ったところで間に合わない)でしょうから、一夏の援護をしましょう。

(シロウ)

<了解した>

私は『サーヴァント』を今やお馴染みとなった【英霊・エミヤシロウ】で展開して、弓と剣を投影します。

『一夏!』

『終わったのか!』

『はい! 今から私も援護射撃を行います! 一夏は好きに動いてくれて構いません!』

『わかった! 頼りにしてるぜ、ウリア!』

『任せてください!』

投影宝具による真名開放だと一夏とセシリアを巻き込んでしまうでしょうから、剣だけを撃ち放ちます。
時々『壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)』で爆発を起こしたりしながら、徹底的に追い詰めていきます。
一夏の猛攻もあり、その襲撃者はかなりのダメージを負っています。
そろそろダメ押しの一撃を入れるとしましょう。

『一夏、セシリア。 合図をしたら離れてください。 止めを刺します』

『『了解(ですわ)!』』

私は剣を投影し、弓に番える。
そして、その剣にエネルギーを籠めます。
私が魔力を籠めている間に、襲撃者は何か通信を受けたようで、撤退しようとしだしました。
あれだけダメージを負っているのなら、この程度で十分でしょう。

『二人とも、下がって!』

私はそれを見ると、すぐに合図を出します。
逃がすわけには行かないので、これで決めます!

「<偽・螺旋剣(カラドボルグ?)>!」

私はその剣を撃ち放った。
空気を裂き、猛烈な勢いで飛翔する剣。
ですが、この剣が衝突する前に、襲撃者は全てのビットを『偽・螺旋剣(カラドボルグ?)』にぶつけて軌道を逸らし、その隙に逃げられてしまいました。
エネルギーを籠める時間が短すぎましたね。
いくら威力を抑えているとはいえ、まさか真名開放した『偽・螺旋剣(カラドボルグ?)』が避けられるとは予想外でした。

『すみません、逃がしてしまいました』

『悔しいが、俺も投影宝具だとはいえ、真名解放した宝具が避けられるとは思ってもいなかった。 まさかエミヤシロウで展開しているウリアが矢を外すなんてな』

『威力を抑えすぎた所為です。 これは私のミスです』

『次やるときに捕らえればいいさ。 セシリアも、焦るなよ』

『わかっていますわ。 わたくしも、力の差を十分実感しましたので』

今のセシリアでは何があってもあの襲撃者には勝てない。
それほどまでに実力差がはっきりしているのです。
わかってくれたのなら私も嬉しいです。
自覚の無い弱者は成長しませんのでね。

(ハサン、被害状況は?)

反省の前に、今はここの被害状況の確認です。
かなり暴れていたので、流れ弾とかでところどころ壊れています。

<負傷者はおりませぬ。 ただ、アリーナは流れ弾と、最後の『偽・螺旋剣(カラドボルグ?)』の余波で破損がところどころにありまする。 被害は小さく、倒壊の危険性は無いので安心してよろしいかと>

(わかりました。 ありがとうございました)

真名開放の余波のことを、これからはもっと考えたほうがいいでしょう。
いくらISの絶対防御を貫かない程度にまで威力を落としてあるとはいえ、その威力は十分高く、その余波は暴風です。
使う時と場所をもっと計算しておかないと、私自身の手で被害を大きくしてしまうことがありえることを改めて実感しました。
こんなのではまだまだ駄目ですね。
もっと戦闘に自覚を持たないと、味方や無関係な人までも巻き込んでしまうかもしれません。
真名開放は使うのを控えた方がいいですね。
……いえ、真名開放を何度も出していたこと事態が間違っていました。
そもそも真名開放は切り札。
切り札を何度も出していては、いつかは見切られてしまいます。
私は真名解放に頼りすぎていたんですね。
もっと自分を鍛えないといけませんね。
次もあるであろう、殺し合いのために。


Side〜ウリア〜out



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