第八十一話『タッグマッチ二回戦!』
Side〜ラウラ〜
『シャルロット。 やるぞ』
『うん。 セシリアは僕が引きつけて置くから、鈴は任せたよ』
『ああ』
私たちの作戦は、鈴の『甲龍』と相性のいい私が先に鈴を倒し、残りはセシリアと二対一で潰すという簡単な作戦だ。
だが、あの二人が対策を取って来ないはずがない。
私にセシリアをぶつけて来るだろうが、私はシャルロットを信頼している。
私を倒しに来るセシリアを引きとめ続けれると、倒すと信じている。
だから、私はそれに全力で応えるだけだ。
私は、持てる全ての力で鈴を倒す!
「アンタがアタシの方に来るのは想定済みよ!」
私が鈴へ向かって飛ぶと、鈴は予想通りと言った表情でそう言った。
「ラウラさんの相手はわたくし―――」
「悪いけど、セシリアの相手は僕だよ」
だが、それは予想通りだ。
「やっぱこうなるかぁ」
鈴は表情を変えることなくそう言った。
「ま、予想通りよね。 さてラウラ。 相性がいいからって、勝てるなんて思わないでよね!」
「むしろ、そんなことを思わせるなよ!」
もしもそれだけで勝てない気になっているのなら、私は鈴を幻滅するところだ。
まあ、勝つのは私だがな。
「長々と戦うつもりは無い。 すぐに終わらせる!」
私は両手にプラズマ手刀を展開し、鈴の≪双天牙月≫と斬り並ぶ。
そして、私はさらに六本のワイヤーブレードを一斉に射出する。
私は、お姉様との特訓の末、六本全てのワイヤーブレードの操作をしても、余裕を持って別の思考を出来るようになった。
だから、この攻撃から逃げるのは、相当酷だ。
「あんた、またワイヤーブレードの扱い、上手くなったわね!」
「お前こそ、攻撃が鋭くなっている」
私はまだレールカノン、AICを使っていないが、それでも鈴とほぼ互角だ。
だが、私のほうが優勢。
さあ、終わらせよう。
見ていてください、お姉様、お兄様。
成長した私の力を、見せて差し上げます!
Side〜ラウラ〜out
Side〜シャルロット〜
「くっ! 流石はシャルロットさんですわね!」
「それはどうも!」
僕は『高速切替』を有効に使い、セシリアを翻弄している。
ウリアさんとの特訓で、僕は相手の動きを見て、状況を見て、適した武器に切り替え、相手の意表をついて攻撃できるようになった。
今まで以上に状況に適した武器を使えるようになり、相手の動きを(ウリアさんや一夏ほどじゃないけど)読めるようになった僕は、相当手強いと思うよ。
でも、そんな僕も攻め切れなかった。
僕たちが成長しているように、セシリアも成長している。
二基だけだけど、ビットを操作しながらも動けるようになっている。
それはつまり、セシリアの弱点が克服されつつあると言うことだ。
以前までのセシリアは、ビットを出したら自分は動けない。
相手が動かないって言うのは、恰好の餌食だから、ビットの攻撃の隙を付けば、簡単に懐に入れた。
でも、セシリアが動けるようになってからは、ビットとライフルの三つの攻撃をかわし、動くセシリアまで飛ばないといけない。
それは、攻撃の数が減ったこと以上に脅威なこと。
だけど、そうこないとつまらない。
僕がウリアさんの力になれているという実感が湧くし、より高みへと上るための足掛かりになるんだから。
「ラウラは引きつけろって言っていたけど、別に倒しちゃっても構わないよね」
ラウラが鈴を倒すまでの時間稼ぎよりも、僕がセシリアを倒しちゃえばいいんだし、ラウラが鈴に手こずるかもしれない。
だから、僕がラウラのサポートをしないとね。
「言ってくれますわね……! ですが、わたくしだって成長しているのです! 慢心しているようでしたら、足下をすくわれますわよ!」
「大丈夫、セシリアは僕が慢心していて勝てるような相手じゃないからね! そんな風に思われるのは心外だよ!」
こう言ってはいるけど、僕もほとんど余裕は無い。
僕の武器は実弾だから、銃弾が無くなれば、その時点で銃が使えなくなる。
近接武器もいくつかあるけど、セシリアには銃がないと辛い。
だから、狙うは短期決戦。
一気に片をつけるよ。
「行くよ、セシリア! 一瞬でも油断したら、すぐに終わるからね!」
僕はセシリアを倒すために、猛ラッシュをかけることにした。
セシリアには悪いけど、勝つためだ。
一気に仕掛ける!
Side〜シャルロット〜out