小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第八十八話『タッグマッチ閉幕』



Side〜ウリア〜

どうやら、一夏と簪が勝ったみたいです。
戦いぶりも、内容も、共に素晴らしかったです。
あれなら、ラウラも満足でしょう。
それに、あの試合で、ラウラも簪も、シャルロットも、そして一夏も成長しました。
私は嬉しいです。

「ウー様、うれしそーだね〜」

私の隣で、試合を見ていた本音がそう言ってきました。

「ええ。 今回のタッグマッチで、皆大きく成長してくれましたから。 特に、ラウラと簪は、今回のタッグマッチはとても重要な経験になったでしょう」

「ウー様って、お母さんみたい」

「お、お母さんって……」

私って、そんなに年寄りくさいですか?

「あ、年寄りくさいって意味じゃないよー。 ウー様が皆を見る目が、まるで子供の成長を喜ぶお母さんみたいってことー」

「そう、ですか?」

確かに、皆の成長は嬉しいですけど、そんなつもり、なかったんですけどね。

「ウー様ウー様、かんちゃんとおりむーのとこ行こー」

「ふふっ、そうですね」

本当に、本音はマイペースですね。


Side〜ウリア〜out


Side〜一夏〜

表彰式を終えた俺たちは、着替えていた。
結果は、俺と簪さんのペアが優勝。
準優勝がラウラとシャルロットのペア。
残りは、三ペアでのバトルロワイヤルで、楯無さんと箒のペアが勝ち上がって三位。
で、先輩ペアが四位で、鈴とセシリアは、善戦しつつも、最下位となった。

「一夏」

「ウリア。 それにのほほんさんも一緒か」

着替え終わって、更衣室の外に出ていると、ウリアとのほほんさんがやってきた。
ウリアは来るだろうと思っていたが、まさかのほほんさんも一緒だとは思ってなかった。

「かんちゃんが出てくるのを待ってるんだよー」

のほほんさんは、相変わらずのほほんとした口調で言ってきた。

「そうか。 まあ、そろそろ出てくるんじゃないか?」

俺がそう言ったころに、簪さんたちは出てきた。

「あ、一夏、ウリアさんに本音も……」

「お姉様にお兄様。 ご一緒だったのですか」

「ウリアスフィール様、いらしていたのですか」

女子更衣室から、ぞろぞろと揃って出てきた出場者。
これで、この場に専用機持ち全員が揃ったことになる。

「あー……こりゃあ、あたしたちはいねえ方がいいなぁ」

「そッスね」

三年のダリル・ケイシー先輩と、二年のフォルテ・サファイア先輩は、そう言って立ち去ろうとする。

「先輩方」

そんな二人に、ウリアは呼び止めていた。

「んぁ? どーした、アインツベルンの姫さんよ」

「邪魔者はとっとと去るッスけど?」

「先輩方も、今日の打ち上げ、来ませんか?」

ウリアは、打ち上げ(やることは今知った)に誘うようだった。

「いいよ、あたしたちは。 ほとんど接点のないあたしたちがいちゃあ、邪魔なだけだろ」

「そうッスよ。 邪魔者は邪魔者らしく、退散してるッス」

「接点がないのなら、今から作ればいいんです。 同じ専用機持ち同士、仲良くしてはいけないなんて道理はないですし、私は邪魔だ何て思いません。 むしろ、今日の試合でお二人に敬意を抱いています。 一夏の攻撃を、あそこまで防ぎきるなんて、並大抵の技量では不可能ですし、あそこまでのコンビネーションは珍しいです。 お二人のコンビネーションは、相当レベルの高いものです。 普段からコンビを組んでいた証拠です。 ぜひお話を聞いてみたいのです。 駄目ですか?」

相当引き止めたい様子のウリア。
まあ、俺もあれほど息の合った防御をする二人に、興味あるし。

「話っつっても、そんなおもしれーもんじゃねーよ」

「なんだかんだで組んでるようなもんッスしね」

「どうせなんですから、専用機持ち全員で打ち上げしましょうよ、先輩」

というわけで、俺も誘ってみた。

「はぁ〜……わぁったよ。 行くよ、行けばいいんだろ」

「こうなったら、もう断れる雰囲気じゃないッスね。 行くッスよ」

先輩方は折れてくれたみたいで、参加するようだ。
よかったよかった。

「では、皆さんでパーッと盛り上がりましょう。 今日は、少し特別です」

特別って、何が特別なんだろうか?
気になるな。

「では、私は少々準備がありますので、六時半に食堂ということで」

ウリアはそう言うと立ち去ろうとしたので、

「ウリア、俺も手伝うぜ」

いつもみたいに手伝おうとしたんだが、

「今日は一夏たちは頑張ったので、ゆっくりしていてください。 私だけで十分ですから」

断られてしまった。
まあ確かに、疲れたけど、ウリアの手伝いなら、いくらでもできる自信がある。

「じゃあ、お言葉に甘えて休ませてもらうかな」

「そうしてください」

ウリアはにっこり微笑んだ後、足早に立ち去った。
……気になるな。


Side〜一夏〜out


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