小説『Zwischen』
作者:銀虎()

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(参・侠蹂狂恋壊慣壊日常)

エンジン音が聞こえた瞬間大井の顔は笑顔に歪む。大井の頭の中では、ボロ雑巾にされた利家が出来上がっている。
林から飛び出てきたのは、ビックスクーター20台。しかし、改造マフラーから聞こえる轟音とは違った。ビックとは違う異質なエンジン音。

ガキャゴッッ

20台のビックスス―ターが投げた。フック付きロープをわざわざ受け止め、力比べする暇なく引きずる、前輪をロックして、後輪のタイヤに横滑りさせて、殴りつける
鉄向き出しのハイパワーハイウエイトの攻撃に、薄いプラスチックのカヴァーがしてあるだけの大型スクーターは、虐壊される。
ビックスクーターの群れが、一蹴される。
150ccから250ccが相場のビックスーターだが、2人乗りもできるので都からは強いのだが、それ迎え撃ったのは、排気量950cc平均の大型集団・翼猫
「なっっ。」
大井は目の前で起きている金羊毛の機動部隊が、スクーターごと轢き壊される状況
「利家ぇ、お前は一人でここに来る取り決めだったろ。」
大井は叫ぶ

ブッリョウッッ

一台の格子模様のヘルメットをした漆黒のバイクがドリフトで大井に横付けする。大きく砂が巻き上がり大井にかぶさる。

カチャ
ヘルメットのアイシールドを挙げて出てきたのは、薄雲壱の顔。松林の方でチカチカと何かが光った
「いやいや、わっちらが来たの、利家の後じゃよ。利家は確かに約束を護り一人で来たのじゃよ。ただわっちらがそのあとを追っただけじゃ」
そんな屁理屈の様な事を言われて大井は
「交渉決裂だ。女を殺す。」
「良いじゃろう。ただ、ぬしはここからよーいドンで、大型バイクの勝てるのかや。試してみるのも一興じゃけどな。」
壱は、嗤う
「こうなりゃ、総力戦だ。」
大井は額に欠陥を浮かばせながら言った。
そういうと、遊具の中や近くのトイレからゾロゾロと人が出てきた。ざっと人数にして300人。
「何とまぁ、用意周到じゃな。」
「自分に陣がないのさ。」
いつの間にか、壱の横・大井のそばにいた利家と壱が言った。
「利家、わっちの愛車に乗るな。血が付くじゃろう。」
「冷たい事言うなよ。」
利家言うと、指笛を鳴らした。
するとバイクやスクーターがたくさん出てきた。そして、その先頭には、GパンにTシャツのラフな格好の雨策 楓。
「人数を使った戦いは僕の範疇だよ。総長、機動長。」

「いちおう、隣県からも呼び寄せたよ。人数にして大体1000人だな。大井敵総長たいて闘うには真っ向からじゃ無理がある。
まぁ、関係ないけど。」
指を鳴らすと。100人は金曜も似の300人向かって襲いかかる。
それを確認した楓は、ゆっくり歩きながら、ゆっくり諭しながらそして、大井のそば、壱と利家に合流する。
大井は目を丸くする。
「僕たちは、総長の引退後の友人AとBとでも思った。」
うすら笑いをしながら、楓は言う。
「改めて、自己紹介をしようか。僕の名前は雨策 楓。」
「わっちの名は、薄雲 壱。」
「お前は俺たちの、戦闘部隊・機動部隊・情報部隊の名前を知ってるか。」
楓と壱と利家が言う。
「竹雀・翼猫・紅葉。」
大井は生唾をのみながら言った。
「なら、どれが誰の部隊かも、わかるよな。」
「はっっ。」
大井は、聞き返す。
「楓の葉は紅葉。樹は多くの葉を操り栄養とるす。木葉のざわめきは僕の情報源だよ。そして、木葉の色が変わるのは僕はらのシグナルだ。シンボルが蛙なのは、楓の名の由来が葉が蛙の手に似ているから蛙手から来ている。俺にとって葉は、攻撃をする手でもあるから」
楓は、ゆっくりと言った
「薄雲太夫は、かの有名な花魁じゃよ。そして猫好きでも有名での、招き猫の生みの親とも言われておる。そして、わっちの愛する自由の象徴の猫。そして、機動部隊だからの、速さの象徴は、翼。だからわっちの部隊の名は「翼猫」。シンボルは、遊郭の証・遊女を見せて囲う、朱塗りの策。」
壱は言う。
「お前らながいぞ。俺は竹雀は戦国将軍伊達政宗の家紋。マルタ十字は、忠誠と勇敢さを表すからな。俺の趣味で決めさせてもらった。」
「ということで。俺は総長。壱は機動隊長兼副総長。楓が参謀として、動き。百足衆をここまで大きくしたわけだ。」
利家は説明を終わる
「三人が集まっちゃたら。」
楓は言う
 「新入りのぬしらでは。」
 壱は言う。
 
 「勝てねぇよ。」
 「勝てぬのう。」
 「勝てないよ。」


三人が、同時に言った。
「大人しく降伏すれば、大怪我じゃなくて中怪我くらいですませてやるよ。」
利家の言葉に大井は、
「降参はしない。お前の傘下にはないらねぇ」
強い目で言った。
利家は、驚いた眼をしたが、そのあとすぐに髪を赤くし直し大井をボコボコにする。
楓はやれやれといった感じで、バイクの後ろに乗りその場を後にする。壱も呆れた感じだった。

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