小説『Zwischen』
作者:銀虎()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

(慣・壊日常)
人間の適応能力は、全地球上の生物の上位に位置するところがある。伝説メーカーのフランスからの転校生が来て、早いもので一カ月が経ってしまった。
ひと月も経つと柔軟な頭をもった。学生たちは、二人に慣れてしまい接し方、逃げ方などを把握しそれぞれの対応をとった。それでも、そのずば抜けた容姿から男子から二人とも人気を得て、命はその柔らかな対応と、上品な行動から、暦はその無邪気な笑顔と人懐っこい行動から、女子にも人気だった。
「転校生が人気者・・・ベタだにゃ。」
繁華街の、バーガーショップで、利家は、壱に対していった。
「そうじゃろ。それも、転入早々いくつもの伝説を打ち建てておる。」
太いポテトを、口に運びながら壱は、言った。
「しかし、暦にだっけ?棚橋を一発KO? 」
先日格技場で起こった。伝説について、利家が質問する。
「ただしくは、ハイキックからのレバーパンチだから。二発じゃ。」
山ぶどうのスカッシュを飲みながら一は答える。
「棚橋はそれで、引き下がったのか。」
「てりやきバーガーの封を開けながら、利家は言った。
「そのあとも、何度か試合を重ねとった。しかし、一撃必殺の空手の攻撃は全部当たらんかった。サバット特有のミドルキックの多用で、間合いが詰められんのじゃ、詰めた所で柔軟な動きと、抜群のセンスのスウェーで避けられるしの。」
「お前にゃら勝てるきゃ?」
利家は、盛大に噛みながら言った。ひどく無邪気そうに。
「無理じゃの?」
ポテトを嚥下して、壱は答える。
「何故?」
「間合いが詰められなきゃ、組み手も何もないじゃろう、あのスウェーに飛び付き十字は無理じゃろうし、寝技は、命に悪からの。」
「自分は、」
「自衛官が、小娘に負けたらいよいよこの国の国防もおしまいじゃの。」
壱は、鼻を鳴らしながらそう言った。
「そうなるか?」
「そうなるじゃ?北朝鮮が攻めてきて防衛する連中が、小娘以下の能力じゃ。北朝鮮も楽じゃ。」
「そこまでいうか?」
「わっちとぬしのじゃろう。」
「遠慮はなしかよ・・」
豪快な笑いとそれとは対照的な大人しく精悍な笑いを挙げる利家。
「ご機嫌麗しゅう。壱」
高く綺麗な声が壱に呼びかかる。
「命か、こやつが言っておった。四人目じゃ。」
やってきたのは、命だった。
「そういえば、暦ほ?元自衛官じゃと言ったら、会いたいって騒ぐからせっかく呼んだ
のにの。」
 「自転車の置き場と鍵を無くして、外で慌てていますよ。」
 くすりとした笑いを浮かべる命だった。
 「自分・目当てぬあの?」
 「いい忘れておったかの?」
 悪意ある笑みを浮かべる壱
 「この方が?伊達利家さんですか?」
 にっこりと西洋的なスマイルを浮かべる命
 「よろしく。伊達さん。」
 「よろしく・・・・。」
 見とれながら利家は、命の言葉に答えた。
 「言っておくが・・」
 「わたしは壱さんのものですからね。」
 壱があきれて利家に事実伝える前に命が自らの口で言ってしまった。
 「くっっ」
 悔しそうに声を挙げる利家。
 「おっまた〜〜〜、遅くなっちゃってメンゴ、メンゴ。」
 無邪気な笑顔と声に包まれて暦登場
 「暦ちゃん、この人が会いたがっていた。元自衛官の伊達さん。」
 命が利家を紹介する。
 「よろしく、トッシー。」
暦は、ニコニコと挨拶する。
「ここでは何ですし、移動しましょう。」
「そうじゃな。」
命と壱のデート付録、命の妹暦&壱の友人利家。
「どこにいく。」
利家は立ち上がる。192センチが立ち上がる。
「デカッッ」
「まぁ、大きい。」
命は、その大きさに驚いた。暦・命の身長は命160センチ、暦は158で暦と利家の差は34センチ子供と大人
「肩車!!」
「はぁぴぃ!」
暦のトンデモ要求本日一回目。
利家本日数十回目の噛み返事。
「おいおい。」
「あらあら。」
壱の本日1回目の呆れ声 
命の本日数回目の驚き声
三人の足が、舗装された道を歩く。一人分足が足りないのは利家の上に暦がいるからだ。
「高ぁ〜〜。」
まるで小学生のような喜びの声を挙げる暦。それを保護者のような目で見る命と壱、従妹のお兄ちゃんのような対応の利家。
「どこへいきましょうか?」
命は、壱に問いかけた。
「そうだな・・・・」
考えなしだった、壱はぼんやりと考え始めた。すると、
「ボウリングとカラオケとゲームがしたいやりたい!!」
「無茶苦茶言うね。」
利家は、目玉だけを上に向けていった。
「暦は三つとも遊びたいの!!」
時間はただいた午後二時、昨日大会で休みを貰っている壱も、あすの朝には朝練が待っているのでそんなにハシャギ倒したくはありません。
「全部、一緒になったとこあったよな。」
壱は、頭をかきながら利家に聞いた。
「あることにはあるけど・・・あそこ、時間制で高いぜ・料金。」
今日は月末、四人とも財布の中に余裕はありません。三つのうちどれは一つにしか行けないほどで・・・
「…暦、三つの中から選べ、時間的に一つだけだ。」
壱は、やれやれといった口調で言った。
「じゃぁぁぁぁぁ、カラオケぇ〜。」
結構、即答だった
「近くに安いところあっちゃろ?」
利家が、返事を聞いて提案する。
「あるよ。会員ガードねぇけど。」
「俺が持ってる。」
利家はそんな会話をしながら、二人を案内する。
「じゃぁ、歌いますか。」
命は笑ってマイクを握る。
「ズルイぃ〜〜ねぇちゃん。」
暦が口を尖らしていった。
「何で俺たちまで・・・・」
「カラオケ苦手なのに・・」
わざわざ、電話で呼び出された楓と天
「けど、結局に来てくれるんだな?」
「だって、隣にビルにいるから…」
利家の問いかけに、天はジョッキで届いたカルピスをストローでブクブクさせながら言った。」
「天〜〜、これ一緒に歌おうぉ〜」
暦の無邪気な笑顔が、天を襲う

-3-
Copyright ©銀虎 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える