小説『Zwischen』
作者:銀虎()

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(蹂・狂恋壊慣壊日常)
コツコツ
安全靴(鉄板の入った工場用の靴、攻撃に使えば凶器)をはいた利家はじゃりじゃりと砂浜を歩く。手には身の丈ほどに長く細く血錆に染まった鉄筋(鉄製の棒を圧延して表面にリブや節と呼ぶ凹凸の突起を設けた棒状の鋼材)利家の息は荒々しく落ち着いていた。
あと数百メートル先には、朽ちた海賊船をモチーフとした遊具が会ってそこは、バイクのライトに様な灯りで煌々と光っていた。
一歩一歩なにも恐れなく散歩のように歩みを進める。そして、利家はその場所に着いた。大きな体躯の利家に数百のバイクのライトが集中する。あちらは見やすいだろうが利家はまぶしくてたまらない。
「よぉう、今夜の大物ゲスト 東海筆頭総長 伊達 利家ぇ」
拡声器のきぃーと高い嫌な音に混じってもっと耳障りな声が聞こえる。
「女を護る為、わざわざのご足労大変に感謝する。」
いやな声はまだまだ続く。
「ゴタクはもういい、大井貞政」
大きな身長から、拡声器の音を&#25620;き消すほどに声が響く。
「怒り発ってるね。心狭き総長」
数着のゴロツキを従え、縄で専門的な縛りをされて恐怖に眼を染めた暦の横、包帯を少しまいた大井貞政がいた。
「顔を知らず、服を汚されたのにボコボコさ、お門違いじゃねぇ。だもんで、大事な後継ぎの子はプチっと潰しておいた。」
にっこりと崩れた笑みを浮かべる大井貞政
「金羊毛VS百足衆の発端は、君の僕への処置ミスだしね。」
ライトが消え始め利家の眼に映ったのは、カラオケの帰りに絡んできた。不良下っ端だった。
「まさか、ヘットが潜り捜査中だったとはな、変わったチームだこと。」
にやりと血笑う
「まさか、あんたはこの259人と一斉に闘うつもりかい。」
驚きに染まる呆れた大井の顔
「あっっ、違うのか、足りないくらいだと思ったんだが。」
血に染まっていそうな月夜にモノクロに血に利家の笑顔。
「それじゃ、君を殺した時に東海を一世に
相手しなきゃジャン・」
 ケラケラと笑う大井
 「だから、今から君にタイマンを張ってもらう、1対1を。」
 「貴様とか。」
 利家は、ゆっくりと血笑う。
 「ラスボスはね。君にはいまから、タイマン259回やってもらう。休憩はなしだ。手に持っている獲物もね。こちらは使わせてもらうけど、なんせ東海最強を相手取るからね。」
 笑いながら、狂気じみたことを言ってくる。
 「かかってこい。」
 利家は狂気の返事を返す
 「どうせ、暦はお前らのほうにあるこちらには、提案権も否定権もない。時間を長引かせても、暦の負担になるだけだ。」
 そういって、利家は獲物の鉄筋を放る。
 ザクッッ
 暦のくくりつけられている柱暦の頬の横、少しかすって大振りのコンバットナイフが突き刺さる。鋭い刃筋の痛みに暦の体はビクッと震える。
 ぱん
 乾いた遊びのような音がして大井の手に、鉄のBB弾は当たり血がにじむ。利家の手には改造ガスガン。利家と大井の距離はおおよそ60m、海風も荒いその距離の中一発で、利家は当ててきた。
 「これも、使用不可かな。」
 そう笑って、ガスガンを投げる。
 「大井、暦は耳栓してるか。後、早くしてくれよ」
 なんでも、ないようなことのように些細なことを聞くように利家は、言葉を発する。
 
「耳栓はしていない。」
「そうか、なら聞こえるだろ。」
そう言って利家は、声の大きさをもう一個上げる。
「暦、絶対助けて肩車で送ってやるからな。後、顔はすまない矢田やつは顔の原型を砕くから、あと、キズものにした責任は、俺に取らせてほしい。」
猿轡をしてしゃべれないが暦はそれに反応する。
「さぁて、貞政早く一人目教えてくれよ。」
嘗め切った態度に利家に、大井を除いた周りのボルテージは最悪にあがる。
「そこの、杭を打って縄で囲んだ。リングに上がって貰えば何時でもスタートだよ。」
大井の額もピクピクと血管が浮いていた。
利家は、大井・金羊毛の立場を、地位を、優位性をすべて、面白がるように蹂躙する。大井貞政に数での優位も、立場の有利も忘れさせる。ある種の不気味さも漂う。利家の態度。絶対なる自信と経験と実績。それは、間違いない3500人をまとめ上げるだけの迫力と、狂気があった。

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