小説『Zwischen』
作者:銀虎()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

(謀・蹂狂恋壊慣壊日常)
壱からの電話を切って、僕は窓から外を見まわす。命・天を護るために集められた。百足衆の武闘派でなおかつ利家に忠義の篤い集団のマルタ十字を背負った集団・竹雀が15人とその部下が5名ずつで90人と情報力と集団戦闘力・チーム力重心を置く蛙がトレードマークのグループ・紅葉の200人、それに比例してバイクも多い。
「楓さん、大丈夫なのでしょうか・利家さんは。」
横にいた命が心配そうに言った。
「大丈夫だよ。あいつは壱より強いから、こっちも気をつけないと。」
天は、二人きりになった部屋で言葉を交わす。
「その隣の部屋で楓は、蛙のマークの服の集団と話を交わす。手には高性能の望遠鏡を持っている。
そして、多くの言葉を謀り渡し十数分後に行動に出た。
廃ビル二階正面窓前に、楓は立っていた。拡声器を片手に、こう叫ぶ。
「今,総長の伊達が金羊毛に単身特攻したのはみんな知っていると思う。伊達は最強武人だしかし、相手は数百の軍勢だ。人間一人が対抗できるはずがない。ここにいる竹雀・及び紅葉の百五十名は今から、伊達の応援・増援に当たってほしい。竹雀の連中は、紅葉から場所等の連絡を受けてくれ。紅葉は五十名、こちらから指名した奴が残ってくれればそれでいい。見張りをつづけてくれ。」
楓は、そう伝達を終えるとそそくさとビルの中へと戻り、伝達を受けた連中は、爆音バイクの音を響かし轟かし、そこを後にする。

ガサッッ
近くにある草茂り、
「人質が一人で間に合ったらしいが、念には念を入れてな。」
そして、その周りには迷彩服を着込み、手にはバットや鉄パイプなどの武器を持った。煙草を吸った者もいる集団。
「大井さんから、任された人数が150だったからな。待ってみるもんだぜ。」
金羊毛の一派、潜伏奇襲部隊・東方軍集団(以下、東方)がサバイバルゲーム用の望遠鏡で見ながら言った。
「ここらへんは、木霊もひどいですから声もよく響きますからね。作戦も丸聞こえです。」
そうだな、ビル裏から潜入、一気に抑えて、孤軍奮闘中の利家殿の追い打ちに使う出汁になって貰おう。
 山中を移動する東方は、後ろでバイクの音は消えた。ビル最上階(4階)では、楓が2人をソファに座らせて壁の方向に顔を向かせて自分は扉と対峙するようにパイプ椅子の前で、グリーンミントのガムを噛んでいた。手にはトランシーバーのような機械。トランシーバーからは、イヤホンが伸びていて耳へとつながっていた。
そのころ、東方はビルの真後ろの斜面へと付いていた。先行部隊がロープを持って音もなくすらすらと降りていく。上で丈夫な杉の木縛られたロープを頼りに先行隊の5人は、火2階の窓にガムテープを張り音もなく割ってビルの中へと侵入する。紅葉の見張り番はビルの前でたむろするように全員で見張っていて中の警備は手薄だ。先行隊がしっかりと支える5本のロープを頼りに、30人編隊を一つ、東方はビルの中へと静かに侵入さした。足元には小枝が散らばり数本が踏まれて折れた。
地下足袋をはいて足音も少なく25人は、ビルの中に息をひそめる。山の斜面にいつでも侵入可能な体制で120人が機をうかがう。先行隊の5人は、待ってあった。蛙のマークの入った上着を着る。
「争いは少なく行こうぜ。」
そのまま、その5人は手近な階段から上に上がる。腰には特殊警棒と改造スタンガンを差して。
そのころ、二人は身じろぎもせずにソファに座り、楓は壁に向かったまま携帯電話で何かをつぶやいた後、イスを少し後方に下げて、背もたれに深くもたれかかる。
壁越しには何も聞こえない無音の世界だった。
ペッッ
楓はガムを外へと吐き出し窓の外に捨てる。数秒の誤差の後に小さな小さな音が聞こえた。また、新しいガムをまた噛む
誰にも会うことなく、拍子抜けさえ覚えるほどに手薄なビル内を東方は進む。
「まったく、楽な仕事ですね。」
先行隊の一人が携帯電話にそう打ち込むと仲間に見せた。それを見た仲間は素早く携帯のキーを連打してこう返した。
「天下の、百足衆も利家なしじゃもはや十分な戦力もなければ、統率力をないのさ。」
そう打った。男は嬉しそうに厭らしく笑った。笑いを精いっぱいにこらえているようにもみえる。
「昔のチームなのさ。最早、過去の遺産だ。世代交代の狼煙は今宵に上がる。」
余程機嫌がいいのか。台詞が段々と芝居がかってくる。
「さてさて、みなさん。チェックメイトの時間といたしましょう。」
一斉メール送信でそういって、笑い顔を創る。場所は3階

ボトッッ
上から、何かが落ちてきた。

ギぃ
楓は背もたれから体を起して、首や手首をコキコキと鳴らしたり、屈伸したりと」体を軽く柔軟させる。部屋の隅に畳んであった厚手の長袖のジャージに身を包むとスプレーを体中に念入りにかけ沁み込ませ眼帯をはめる。
ガビャ
錆ついた扉を開けて、あたりを見回すと近くに黒い厚手の大きいビニール袋をサンタクロースのように担いで廊下を歩く。
そして、廊下の一角に着くと床に耳を当て、目を閉じる。かすかな小枝の折れる足音。

ッス

部屋の灯りを消して遮光カーテンを音もなく閉じる。闇色に染まった山の中で眼帯を外す。闇に慣れた目は部屋を見通す。
床に保護色に隠された板を持ち上げると
そこにが、30センチほどの穴があいていた。そしてビニール袋の封の下をしっかりと握り込み片手で縛り目を開けて手を離せば開き口が下向くように穴のぶら下げ、袋の端を口で軽く噛むそして、手を離すとビニール袋から茶色の物体が出てきて下に落ちる。一瞬後にビニール袋から口を離してビニール袋も落とすと。足でベニヤを閉じ割れない程度に強さで踏み込む。

 ボトッッ
 上から何か出てきて落ちた。そこから嫌悪感満載の羽音が聞こえる。そして、
 東方の痛みに叫ぶ声がこだました。楓のおとした物は黄足長蜂の巣。足長蜂の毒性は雀蜂ほどでないにしろ。その痛みは、雀蜂より高いといわれるほどに激痛が刺された箇所に走る。
 「ふぅ、」
 一息、楓は着くとそこから離れる。
 下からは激痛に苦しむ東方の声がした。
 「大雀蜂も今度捕まえておきたいなぁ。」
 遮光カーテン待開けた窓から、ガムを吐き捨てる。階段前へと出るとクーラーボックス大の箱を取り出す
 
 ビル裏斜面上道路。
 120の東方の軍隊は、山頂から普通位の音のするバイクで山頂から降りてきた竹雀の一行によって、バイクごとに壊されていた。

 ビル内3階階段前、黄足長蜂からの攻撃を超えて生き残ったのは、30人中13名。

「ぜってぇ、殺す。」
見つかっていたとわかっていてもうこそこそ隠れる必要のない先行隊は声を荒げてそう言った。
ギぃギぃときしむ階段を上がると

ブォン
三本の一升瓶製の火炎瓶が前の前から飛んできた。結構な勢いのついた一升火炎瓶は、13人の足元や腰に当たって盛大な火炎を挙げる。
「うわぁ。」
7人の服に引火して、大やけどを負わす。
「クソッ。」
一人が近くの消火器を使って7人の火を消した。しかし、7人はすぐ動ける程度のけがではすまなかった。

残り5人

一升瓶が抜けて、空になった。クーラーボックスを蹴落とすと。楓は近場の柱にロープをくくり。窓から降りる。
そして、下の紅葉に指令をする。
「足長と焼酎で、中に数十人転がってる。動けてピンピンしているのが、片手分だ。かけ雀に任せよう。

バシッッ
消火器で火を消し、窓から逃げた楓を確認した5人は地団駄を踏んでから、望遠鏡から見えた女子がいる部屋に大股に向かう。
「ここの女どもさえ奪えれば形勢が一気に弱点できk・・・」

開けようとした扉が向こう側から蹴破られると。女子だったらベリーベリーショートの髪形をした男とネコっ毛で茶髪のショートウェーブの男がいた。2人ともマルタ十字のアクセサリーを身にまとっていた。

そのころ、命と天は利家を手助けに行ったはずの紅葉に守られて警察署横の24時間マンガ喫茶に、はいってゆっくりジュースを飲んでいた。

「僕の勝ちだな。」
楓は、足元にぼこぼこになって転がる東方を見下ろしながら、そいつの顔面へとガムを吐き捨てる。
「利家だけは百足衆を引っ張ってるわけじゃないよ。」
楓は言う
「何故、俺らがわかった」
東方のリーダーは言った。
「百足の傘下に入ることになるだろうから教えてあげる。林に隠れているのだから煙草みたいなもので居場所をアピールしているから。すぐ分かった。あと、ビル中に放り捨て投げてある送信用トランシーバーとわざと散ばせてある小枝でビルの入ったタイミングと行動手順、大体の人数を把握した。地下足袋のおかげでなかなか把握が難しかったよ。」
そう言い捨てると、楓は携帯でどこかへ連絡を入れる。

「命と天は護衛完了。吉報を待つ。竹雀を翼猫に合流させる。紅葉も使ってくれ。」

-8-
Copyright ©銀虎 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える