「しらないてんzy―――――Prrrrr!Prrrrr!―――――言わせてくれないのかよ。」
にしても此処どこなんだろ?見た感じ病室・・・っていうより診察室みたいだけど。っと、とりあえず電話に出るか。
「は〜い、もしもし?」
『言わせないわよ?』
・・・・スッ―――――『あ〜!!切っちゃだめよ!』――――コイツなんなんだ?
「なんか用か?」
『せっかく丁寧にアフターケアの為に連絡したのにな〜に?その言いぐさは?』
「あ゛?何がアフターサービスだ?オイ。いきなり殺す気か?」
『だってそっちの方が面白そうだったんだもん♪』
「ふざけるなよぉぉぉ!!何で俺は面白そうだったからって死にかけなきゃいけないんだ!?」
オカシイよね?俺なんも悪いことしてないよね?むしろ悪いことしたの向こう側だよね?
『まあまあ、そう言わないで。ちゃんと意味があったんだから。』
「何だよ意味って?まさかお前が楽しめた、とか言わないよな。」
『・・・・・・・あっ、の、能力。能力が使えるようになったでしょ?』
「今の間はおかしいだろ。・・・・はぁ〜。もういいや諦めた。で?アフターケアってなんなんだよ。」
『まあ、そのアフターケアもほとんど終わってるけどね。』
えっ?何故に?
「ちょっと待てよ。俺はまだ何もされてないぞ?まさか落としたのがアフターケアとか言わないよな?」
だとしたらなんという理不尽!!
『そうよ。・・・って冗談よ。あの方法はあれしか無かったからああしたのよ。正式な手続きを踏むとこうはならないわ。』
「じゃ、なんでその手続きを踏まない非公式な方法しかなかったんだよ?」
断然そっちの方がこっちとしてもよかったんだけど。
『それじゃ駄目なのよ。正式な手続きの場合、その世界で生を受けることになるわ。でもその場合生まれる筈だった命があなたによって押しのけられ、同じことを繰り返す羽目になるわ。それでは解決にならないのよ。』
まあ、確かに
「でも、それなら説明してくれてもよかったんじゃない?」
『だって説明したらあなた自分で能力を使わないもの。』
「いや、なんでそうなるんだよ?」
『考えてみなさい。あなたは能力を使ったこともない。そんなあなたが何故生きているのか。』
「何でってそりゃ・・・能力が使えたから、だろ?」
『あなたは馬鹿なの?本来超能力っていうのは何十億分の一位の一握りの人間か、学園都市で頭ん中に電極ブっ刺して発現するもの、という事になっているわ。あなたはそのどちらでもない。』
「・・・・・・?」
『まだ理解できないの?つまりあなたが能力を使える筈がない存在なのよ。』
「でもお前能力をくれるって言ったじゃねえかよ!」
『ええ、確かに言ったわ。でも実際には違うわ。私にそんなことする力はない。』
「なんでだよ?だって神なんだろ?何でも出来るから神なんじゃないのか?」
『ええ、その解釈も間違ってないわ。ある視点からは。』
???どういう意味だ?
『そもそも何で神は複数いると思う?なぜならね、神は、いえ、神すらも不完全な存在だからよ。
不完全だから複数いないとミスをしたときに取り返しがつかなくなる。その辺は人間と一緒ね。』
「その話と佐?の話がどうつながるんだよ?」
『そして世界にはいろいろな世界がある。異世界と言われる世界がね。神はそのすべての世界を管理しているわ。神毎に複数の世界をね。神は自分の管理している世界では何でも出来るわ。』
へぇ〜そんな仕組みになってるんだな。
『私がイエスを神に出来たのも私が管理していた世界だからよ。そしてあなたのいる世界は私の管理下ではない世界。だからそんな方法しかなかったの。ごめんなさいね。』
「いやまあそれは分かったからいいんだけどさ。それと俺に能力を与えてないって話とどうつながるんだよ?」
『考えてもみなさい。自分の管理してる世界に他の神が勝手に人を送り込んで来たら普通怒るわ。
それこそその世界に入った瞬間に殺されるくらいに。』
「・・確かに。」
『でもその世界で発現したものについては何も言えないわ。たとえ文句を言われてもやったやってないの水掛け論だしね。だから私はあなたに“能力の可能性”を与えたっていう訳。』
「・・・・・・」
『分かってない少年の為に説明すると、元々人間は全て平等なのよ。才能という面においてね。
だから誰もが科学者にもなれるし、一流のスポーツ選手にもなれる。そういう風に作られたのよ。でも現実を見てみるとどう?どう見てもそんな風には見えないそれは何故か?
簡単よ。自分の才能を使いきれてないだけ。』
「・・・つまり人間は全ての可能性が秘められている、という事か?」
『そーゆー事。つまり。』
「つまり能力を発現する才能を俺にくれたっていう訳か。」
『そう。でも折角の才能も使いこなせない人間も多いわ。それは才能が一度開こうとして開かなかった場合、二度と開かないからよ。
そして才能を開かせるには強い思いが必要なの。夢の実現でもなんでもいい、強い思いが。その中でもとりわけ思いが強いと云われているのが何か分かる?』
「彼女が欲しい、とか?」
『・・・・生への執着よ。』
「!!・・・・・なるほどね、そういう事だったのか。」
『今更だけどあなたってかなり馬鹿よね。』
orz。そうですよ。どーせ馬鹿ですよーだ。
『まあ、いいのだけれど。とりあえず、能力が一度使えたからいつでも使える筈よ。これであなたへのアフターケアは終わり。』
「え!?もうちょっとサービスしてくれても良いんじゃない!?」
『もうちょっとってあなたね、私はかなりあなたの為に尽力しているのよ。さっきも言ったけど他の神が管理している世界に介入するのも結構綱渡りしてるっていうのに能力まであげて。普通ならそんな規格外でチートな能力なんてあげないし、あなたをさっきの落下から生かしたのよ。』
「ちょ、ちょっと待てよ!一つ目は分かるけど、二つ目は俺の能力で助かったんだろ!?」
『まあ、間違ってはいないわ。あなたは確かにあなた自身の能力で自分自身の動き、つまりは落下するベクトルは0にしたわ。』
「なら――――『むしろ言うならそれしかしていない。』――――??」
『あなた、慣性の法則ってしってる?簡単に言うと、止まっているものは止まっていようとする、動いているものはそのまま動き続けようとする力の事よ。』
「ムッ。それ位知ってるよ。電車に乗ってる時によろけるアレだろ?」
『ええそれよ。この力はあなたが落ちているときにも働いていたわ。
さて、ここで問題、上空5000mから落下し、急停止するとどうなるでしょう?』
「え、え〜と―――――『答えはミンチよ。正確な値は出すのは面倒だから分からないけど形なんて残らないわ。後には不思議なものが残るわね。人が倒れたような形に謎の肉体らしきものがあるんですもの。』――――――・・・・・(ガクガクガクガク)」
『あら、どうしたの?あなたがそうなるように能力を使ってたのよ?』
「助けていただきありがとうございましたっ!!!!」
『すぐに感謝できるのはいいことよ。じゃ、誰か来たようだし、アフターケアはこれでおしまい。あ、その携帯はあげるから好きに使っていいわよ。電池は切れないし、どこにでも繋がる、お金もかからないしネットにもつなげるからイロイロな動画も入れ放題よ。』
「ブッ!!な、何言ってんだよ!?そんな動画入れるわけないだろ!?///」
『あら〜?一体どんな動画を想像したのかしら?』
「クッ!//もう切るからな!!」
『じゃ〜ね〜。』
あー!最後に恥かいた!まあ、いいや。にしても誰か来るって言ってたな?
「あ、目が覚めたかい?」
そう言いながら姿を現したのは170cm位の男だった。
「ああ。それにしても此処は何処なんだ?」
そう言いながら俺はベッドから降りる。
「此処は学園都市内の研究施設の一つだよ。君はこの研究所の近くで倒れているのを発見して連れてきたんだ。」
そう言って|しゃがんで俺に目線を合わせる。
・・・・・・ん?何かおかしくないか?
「・・・ちょっと待って。」
「ああ、構わないけど・・どうかしたのかい?」
何か言っているが俺はそれどころではない。
改めて自分の身体を見てみる。服はよくある緑色をした手術衣のようなものを着ているようだ。自分の手を見ると・・・・異様に小さい気がする。
さらに周りを見回してみると正面には男がしゃがんだ状態でこちらを不思議そうに見ている。そして後ろをむくと俺の寝ていたベッドがある。まあ、ベッドというより救急車のストレッチャーって言った方が近いけど。
何が言いたいかというと寝台がちょうど目線と同じ高さにあるのよ。いや、普通のベッドよりは高いから1m位だと思うんだけどさ。
・・・・・・メッチャ背ぇ縮んでるぅぅぅ!!!
ええ!?どゆこと!?あの女神の仕業か!?チクショーー!!・・・ま、どうでも良いんだけどね。何か実害がある訳じゃないから。
「え〜と。落ち着いたかな?」
おお。完全に忘れてた。
「はい。大丈夫っす。で、何の話でしたっけ?」
「とりあえず君の名前を聞きたいんだけど。」
「あ、はい。篠崎 零です。」
「住んでいたところとか分かるかな?」
やべーどうしよう。あの女神、無理やりこの世界に入れたみたいなこと言ってたからたぶん俺の戸籍なんて無いだろうし、ここは申し訳ないけど嘘で乗り切りますか。
「・・・・実は親に捨てられたんだ。」
なんとかなる・・かな?
「う〜ん。置き去りか。じゃあ、行くとことかないよね?」
上手くいきそうだな。これは。
「うん。どこも行くとこない。」
「・・・・よし!じゃあ、しばらく此処で暮らすかい?」
お、簡単に寝床ゲット〜。
「いいの?」
「ああ、構わないよ。此処は広いから使ってない部屋もたくさんあるし。」
「じゃあ、お世話になります・・?」
「あはは。これから一緒に暮らすようなもんなんだから遠慮はなしだよ。」
「わかった。よろしく。え〜っと・・・」
「そういえばまだ自己紹介してなかったっけ。僕の名前は但馬 剛。よろしく。」
「俺の名前は篠崎 零。よろしく。」
こうして俺の新しい生活は始まった。