小説『とある科学の零回帰』
作者:トムヤム()

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「距離移動(ゲートポイント)?それが俺の能力名?」

「ああ。他に該当する能力者がいなかったからこっちで勝手につけさせてもらったよ。」

「まあ、それはどうでもいいんだけど。結局どんな能力なの?」

「空間移動(テレポート)系の能力だ、っていうのは前にも言ったよね。空間移動系には座標移動(ムーブポイント)というのがあって、そいつは離れた2地点間を移動させる能力なんだ。
君の距離移動は座標移動を受動的にした能力と言える。
本来、空間移動系の能力者の利点は3次元空間の影響を受けないこと、だと言われている。それは確かで目の前に壁があっても回り道をせずに済むんだから。
でも君の距離移動は3次元に依存しなければ、能力が発動しない。そんな能力なんだ。」

「・・・・・いや、分かんないから。」

「良いだろう。じゃあ、言うよ。君の能力は、ズバリ・・・・」

「・・・ズバリ?」

「どこでもド〇〜。」

「・・・・・・は?」

え?どゆこと?どこでも〇アってアレだよな。青いタヌキ型ロボットのアレだよな。なんでそれが今ここで出てくんの?っていうかこの世界にド〇えもんなんてあったの!?

「分かりやすいだろう?どこで〇ドアが存在しているだけでは移動できない。移動するにはドアを通らなきゃ移動できないんだから。」

「俺の能力もそうだと?」

「うん。3次元で始点と終点の2地点を指定、ってトコまでは座標移動と一緒だ。ただし、君の能力の距離移動の場合、ここからもう1つステップを踏む必要があるんだ。」

「移動させるには、指定した1地点に“ぶつかる”必要がある、ということ?」

「そう。そういったことから受動的だ、と言ったんだよ。」

確かに、受動的だな。こりゃ。
にしても面倒な能力だな、コレ。一応俺の本当の能力は零回帰(カウントゼロ)なんだけどな〜。でも今更俺の能力は零回帰で〜す。なんて言うのも変だし、何で言わなかったんだ、ってなったらそれはそれで面倒だからな。我慢するしかないか。

「零。今、自分の能力が面倒な能力だな、とか思ってたでしょ?」

「・・・・よく分かったね。」

「いいかい?零。何か勘違いしているようだから言っておくけど、距離移動、この能力は座標移動に勝るとも劣らない能力だよ。」

「そう?だって物を移動させる場合、その物体を動かす必要がある。という事は自分で動かせない物を移動させることは出来ない、って事でしょ?」

「その通り。でも逆に言えば、自分で動かせなくても動いていればどんな物でも移動させられるよね?」

「・・・・・確かに。」

「一般的に空間移動系は攻撃力が高い、と言われている。それはどんな物質だろうと突き抜けて攻撃できるからなんだけど、その反面、面での攻撃は出来ない。どうしてもピンポイントの攻撃しかできないからね。
その点、君の能力は違う。別に能力で物を飛ばしたって物を止めている訳じゃないから、飛ばしたものは動き続けているんだからそのまま攻撃にも防御にも応用できる。
どう?すごいと思うけど。」

「・・すごいのは分かったけど、戦闘前提で話が進んでるのはどうなの?」

「仕方がないだろ?此処はそういう街なんだから。」

「・・・やっぱりそうなんだ。」

「じゃあ、説明はこれ位にしとくか。ハイ、これが詳しい計測値だよ。」

ふ〜ん。どれどれ。




〜篠崎(しのざき) 零(れい)の能力 距離移動に関するデータ〜

特徴
動いている物体にしか作用できない受動的な空間移動系能力

最大移動距離
98.66m

最大   
自身で動かせる重量。ただし、動いている物体であれば、上限は無い




成程ね〜。これで零回帰を利用した移動距離なんかは分かったな。
でも肝心の他の使い方を覚えないと。

「じゃあ、今日はもう実験は無いから部屋に戻っていいよ。」

「はいは〜い。」

部屋で1人で訓練するしかないか。





〜1週間後〜

あれから1週間、俺は1人悲しく部屋で能力について訓練した結果。

なんと・・・・・何も分からなかった。

しょうがないだろ!?何だよ『あらゆるものの数値情報を0にする』って!?アバウトすぎるし、そもそもどうやって0にするのかも分かんないから調べようがないんだから!!

『Prrrrr!Prrrrr!』

ん?あ、そういえば・・・携帯あんじゃん!これであの神様に聞けばそれで終わりだった・・・。
で、誰からなんだろ?

「もしもし?」

『あ〜もしもし?私、私。』

「お前は懐かしの詐欺師か。」

『そんなことどうでも良いでしょ?貴方、聞きたいことがあったんじゃないの?』

「そうなんだよ。能ry―――――『私そういえば貴方に能力の説明してなかったのよね〜。』―――――オイ!」

『あなたの能力、零回帰は『あらゆるものの数値情報を0にする』能力よ。』

「それは前に聞いたよ。パラシュートなしスカイダイビングのとき。」

『あら、覚えてたの?』

「お陰様でね!」

『それはどーいたしまして。』

褒めてねえよ!!

『詳しいこと今から説明するわ。
まず、零回帰に必要なのが数値情報を知ること。これは良い?』

「ああ。」

数値を知っていなきゃ数値を変えられないって事でしょ?

『そうよ。だから私はあなたに零回帰と一緒に“ある力”を与える予定だったの。』

「ある力って?」

『それは、『“kdふdsr”』へのアクセスよ。』

「・・・・え?今なんて言った?」

全く理解できなかった。英語とかそういう事じゃなくて、まず言語として理解できなかった。

『う〜ん。やっぱり意味は通じないか。』

「どういう事?」

『今あなたが使っている言葉っていうのは神が生み出したのだけど人間に伝わる段階で大きなズレが生じたの。』

「伝言ゲームみたいなもんか。」

『そうね。それでさっき言ったのが私達、神が太古から使っている言葉なんだけど。』

「それが人間の言葉に対応していないって事?」

『そういう事よ。それでさっきの言葉を言い直すと、そうね・・・‘裏3次元’にアクセスってとこかしら?』

「どういう意味?それ。」

『名前に意味はないわ。私がテキトーにつけたから。』

「・・そんなんで良いのか?」

『さっきの言葉には“情報”って意味があるの。人間がよくアカシックレコード、なんて言っているものよ。』

「あ〜成程。」

確かにアカシックレコードって過去から未来、全ての情報が記録されてるんだっけ。

『そう。アカシックレコードには全て、この世界だけじゃなく他の世界の情報も記録されているわ。
あなたにはそのアカシックレコードの一部、この世界の数値情報の部分だけアクセスできるようにしたわ。
まあ、‘裏’っていうのは、現象を‘表’と見たときにその情報はその‘裏’側ってことよ。』

「名前の由来は分かったけど、どうやってその‘裏3次元’を覗くんだ?」

『あら、それなら簡単よ。あなたの思考一つで自由に見られるわ。最初は難しいと思うから、一度目を閉じてからやってみるといいわ。』

「あいあい。了解。」

『た・だ・し。時間制限があるわ。』

「・・・その制限ってどれ位なんだ?」

『アクセスし続けた状態で5分。それが限界ね。』

「・・結構短いな。5分って。」

『まあ、これでもかなりすごいのよ。普通の人間なら膨大な情報量に頭がパンクして2秒で廃人確定よ。』

「2秒って・・・」

それじゃ、しょうがないか。

『能力を使用するのに常にアクセスしてる必要はないから時間制限=戦闘時間って訳じゃないわ。』

「そうかもしんないけどさ・・。」

『これで説明は以上よ。何か他に聞きたいこととかある?』

「ん〜特にない・・かな。」

『分かったわ。じゃあ頑張ってね。時間制限にだけは気を付けてね。』

「あ!そうだ!」

『どうしたのよ?急に大きな声出して。』

「その時間制限越えたら・・どうなるんだ?」

『・・・・何とも言えないわね。もしかしたらさっき言ったように廃人になるかもしれないし、ならないかもしれない。死ぬかもしれないし、死なないかもしれない。何が起こってもおかしくないわ。』

「そう・・か。」

『だから気を付けなさい。それじゃ、頑張ってね。』

「了〜解。」


はあ〜。面倒な制限ついたな。でもま、どうしようもないからな。なるようになるだろ。



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