小説『真剣に私に恋しなさい! 〜 最強の武将の名を受け継ぐ男? 〜』
作者:ラドゥ()

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第三話 白の少女ですか。

サイド:四季

こんにちわ〜。篠宮四季だ。

今日は休日。ただいまここ川神市を探検している。

なぜかというと、父さんが昔から世話になっている人に頼まれてお手伝いにいってるから、修行がお休みなのだ。なんでも犯罪者の捕縛や組織の殲滅などの仕事らしい。

大丈夫かな。(相手が)・・・・・・とりあえず相手はトラウマになることは間違いないだろうな。

俺が多摩川の近くを歩いているというと、

(ん?なんだあれ?)

目の前から、一人の女の子が前から歩いてきた。

その少女の髪は白髪で、その肌もまるで雪のような白さだった。確か、アルビノっていうんだっけ

(やけにふらふらしてんなあ。大丈夫か?)

話しかけてみようかと小走りで近寄ると、




ばたり
「!?」



女の子が急に倒れた。って、

「解説してる場合じゃねえ!?」

俺は急いで女の子に近寄って様子を見る。
四季は少女の体の状態を見る。

(気の流れが大分乱れているな。それに腕の細さから見るに・・・・・・・・・・栄養失調症かなにかか?)

救急車を呼びたいところだが、生憎自分はまだ五歳。
携帯の所持は許されない。

(だったら・・・・・・!?)

四季は少女を背負って走り出す。
母が待つ自宅へと少女を助けるために・・・・・・。

これが、後に『戦鬼(オーガ)』と呼ばれる少年、篠宮四季と、榊原小雪の出会いである。










サイド:小雪

知らない天井だ。

「あれ〜、・・・ここどこ〜?」

ぼく、榊原小雪はいつも通りお母さんにご飯を抜かれて
それでお腹がへって、それを紛らわすためにお腹がへって。それで道端に倒れたはず。

それが何で、外じゃなく、知らない部屋にいるんだろう?

小雪が自分の置かれた状況について考えていると、

ガチャ
「(ビク!?)」




部屋のドアが開き、そこから一人の少年が入ってきた。

その赤毛の少年は、小雪が起きているのをみると、安心したように笑いかけた。

「おお!やっと起きたか、心配したぞ?」

心配?なぜこの少年が自分のことなんかを心配するのか?






−−−−あんたなんて産まなきゃよかった!!






こんな親にもいらないといわれた自分(・・・・・・)を。

小雪が考え込んでいるにも関わらず、件の少年、篠宮四季はそんな彼女の様子を気にした様子もなく、話しを続ける。

「とりあえず腹へってるだろ?飯作ったから一緒に食おうぜ?」

そこで小雪は自分の腹の虫の状態を思い出す。

すると、






ぐぅ〜!

小雪の腹の虫が大きく鳴る。
「ハハ!体は正直だな。下に飯が用意してあるからついて来いよ。」

そういって、四季は小雪に背をむけ部屋からでていく。

「・・・・・・。」

一人部屋に取り残された小雪だが、おっかなびっくり彼の後についていった。

もうお腹が限界なこともあるが、彼女は自然に察したのかもしれない。

彼が自分がいま一番欲しいもの、








「優しさ」を与えてくれるこてを・・・・・・。






サイド:四季

「(ばくばくばくばく!)」

「ほらほら、そんな急がなくてもだれもとらないから。」

いま、目の前で俺が拾ってきた女の子がものすごい勢いで用意された飯を平らげている。

よほど腹がへってたんだろう。用意した食事はみるみるへっていった。

母さんはそれをにこにこ見ている。

(しかし・・・)

なんでここまでになるまで、何も食べないでいたのか。見れば俺と同い年、まだ親に庇護されている年頃だろう。

親はなにをしていたのだろう。こんな小さい子が倒れるまでほっとくなんて。

俺がまだ見ぬ少女の親に内心憤っていると、

「あ・・・あの・・。」

白い少女がこちらを見ていた。どうやら自分の世界に入っていたらしい。

「どした?」

「あの、なんで助けてくれたの?」

「あん?」

何でってそりゃあ、

「困ってるやつがいたら助けんのが当然だろ?お前みたいな女の子ならなおさらだ。」

「っ!?そ、そう。」

本当にどしたんだ?

「あ、あの、これ?」

そういって少女が差し出したのは、一つのマシュマロだった。ずっとポケットの入れていたのだろう。ぐちゃぐちゃになっていた。

「マシュマロ食べる?」

「くれるのか?」

「(コク)」

「さんきゅ。」

そういって俺は少女からマシュマロを受け取り口に含む。甘さが口に広がる。まあ、形は味に関係ないからな。なかなかうまい。

そういえばまだこの子の名前を聞いてなかったな。

「なあ、まだ名前聞いてなかったよな?俺の名前は篠宮四季だ。」

「あらあら、四季君お母さんを仲間外れにしちゃいやよ?私の名前は篠宮晴美っていうの。よろしくね?」

「ぼ、ぼくは榊原小雪っていうの・・・。」

「そうか、いい名前だな。俺のことは四季でかまわない。よろしくな。」

そういって俺は小雪に手を差し出す。

「?えっと?」

「握手だよ。これから友達になるんだから。」

「と、友達?」

小雪は戸惑っている。

「そ、前にテレビで見たんだけど、友達ってのは相手の目を見て名前を呼び合えば慣れるらしい。俺はお前と友達になりたいんだ。」

リリ〇ノでも、あれは名言だと思うんだ、俺は。

「ぼ、ぼくと?」

「おう。」

俺がそういうと小雪は黙った俯いてしまった。どうしたんだろう?・・・・・・っは!ひょっとして俺と友達になるのがそんなに嫌だったのか?

「悪い、嫌だったか?」

そういって手を下ろそうとするが、小雪は慌てて俺の手を握る。なんだなんだ。

「そ、そんなことない!ぼ、ぼくも四季と友達になりたい!!」

おお、よかったよかった。てっきり嫌われたのかと思った。

「それじゃあ、これからは友達だな?よろしくな小雪!」

「っ!!うん!よろしくね、四季!!」

それから俺は小雪とゲームをしたり、いろんな話をしたりしてその日を過ごした。小雪は本当に楽しそうにしていて、この笑顔を見れただけで小雪と友達になってよかったと思った・・・・・・。














「あら、もうこんな時間。小雪ちゃんもう帰ったほうがいいんじゃない?」

母さんの声に、時計を見る。

午後4時30分。少し早い気もするが、確かに小雪くらいの年齢の子供ならそろそろ帰らなければいけない時間だろう。

小雪のほうを見ると、

「・・・・・・。」

表情が暗くなっている。おかしいな。大体この年頃の子どもなら残念がることはあってもこんな反応はしないはず・・・・・・。

「なあ、小雪。お前なんか家にあるのか?」

「っ!?」

小雪がビックリしたようにこちらを見ている。やっぱり。

「なあ、俺でよかったら話してくれないか?俺は友達が困っているのに放っておくなんてできない。」

俺は小雪の手を握り、目を見つめる。俺の気持ちを伝えるのはこうするのが一番いいと思ったからだ。

小雪は悩んだ。

小雪にとって、四季は初めてできた友達。そんな四季に嘘はつきたくない。でも母親を裏切ることはしたくない。
小雪は悩んだ。さんざん悩んだ。

小雪はいままでずっと耐えてきた。母親から暴力を受けても、存在を否定されても。どんなことをされても、自分は母親のことが好きだったから。

しかし、篠宮親子に出会い、そのやさしさに触れたため、その我慢も限界がきたのだろう。結局小雪は篠宮親子に話すことにした。今まで自分がどんなことに耐えてきたを・・・・・・・・・。

「実は・・・・・・・・・。」









ひどい。

最初に出てきたのがそんな感想だった。

実の母親が娘に暴力を振るい、あまつさえ存在を否定するなんて。

「(ギリっ!)」

俺がまだ見ぬ小雪の母親に憤っていると、



ふぁさ
「(ビクっ!?)」

母さんが小雪のことを抱きしめていた。

「あ・・・?」

「大変だったわね?苦しかったわね?もう無理しなくてもいいのよ?」

母さんがそういうと、

「ふえ。」

小雪の目じりに涙が溜まりだした。

「もう・・・・・・泣いてもいいのよ?」

そういうと、小雪の目にどんどん涙があふれてくる。晴美の優しさによって、小雪の心の堤防が決壊してしまった。

「ふ、ふえーーーん。痛かったよーーー、さみしかったよーーーー!!」

「そうそう、その調子。」

「うえーーん!」

小雪の鳴き声はしばらく続いた。

「まったく」

母さんにはかなわない。












それからのことを話そう。

小雪が泣きやんだ後、俺たちは話し合った。

「小雪をこのままにしておけない」と。

それからの俺たちの行動は早かった。

一度小雪を家に送り、小雪を虐待している現場を、俺が激写(父さんから隠密術も習った)。その場で取り押さえる。

そして、母さんが川神市の子供相談センターに通報。川神市はこの辺のことは徹底していて、すぐに小雪の家に来て、小雪の母親を連行していってくれた。

小雪は寂しそうだった。それもそうだろう。小雪はあんなに酷い目にあっても、母親のことを好きだといっていたのだから。

それから、小雪は孤児?になったのだが、『榊原』という老夫婦が小雪を引き取りたいといってきた。

だから、小雪はその老夫婦の元にいったはずなのだが、









「これからよろしくねえ♪」
「なんでいんだ、お前。」

母さんに詳しい説明を聞いたところ、どうやら小雪のほうから家に来たいといってきたらしい。母さんも、「女の子も欲しかったのよねえ。」とそれを承諾。今に至るというわけである。

「♪」

小雪は俺の膝に座り、ご機嫌な顔でテレビを見ている。母さんはにこにことそんな俺たちをほほ笑ましそうに見ている。


・・・・・・はあ、まあいい。俺が強くなればいいだけの話だ。









この新しい家族を守るために。








ちなみに小雪の話を聞いて、犯罪組織を即効で潰して帰ってきた父さんを見て、小雪がその姿にものすごい怯えてしまい、それに父さんがとてもショックを受けていたのは余談である。

-5-
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