小説『リオン・マグナスに憑依』
作者:空夜()

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 使用人の後を付いて行き僕はここの食堂につく事が出来た。そこには、今まで見たことの無い光景が広がり、ここが僕のいた世界とは改めて思い知らされた。

 食堂には多くの人がおり、その中で何処か貫禄があるメガネをかけた男性が目にはいった。周りの使用人の様子を見る限りこの男性がヒューゴだろう。メガネの男性の外見や声が僕の知ってるヒューゴに似ており、ますますデステニィーの世界に近いと感じながら僕は使用人がひいた椅子に座り、食事が始まった。

 どことなく重たく、沈黙の中で僕は淡々と目の前の食事を周りの人を真似をしながら食べ始めた。僕の目の前に今まで食べたことがない料理が並べられており、どれもこれも上品の味わいだが、おいしくなかった。

 もくもくと、時が流れるなか僕がなれない食事作法で苦戦しているときに、何処か風格のあるメガネをかけた男性が口を開けた。


 「リオン……さっきレンブラントから話を聞いたのだが、昨日の事件こと以外の記憶が無いのは本当か」

 
 その時、周りの空気が変わり、僕は昨日の出来事が頭の中に蘇り、胃の中の物が逆流しそうな感覚におあそわれ、口から何か吐き出しそうな何かを無理やり飲み込み、頭を何とか回転さして自分がなすべき役になりきるように対応した。

 「……申し訳ありません。ほとんど記憶が無く、今までの出来事が思い出すことが出来ません……」

 「ふむ、そうか」


 恐らくヒューゴと思われる男性は、あごをさわり何か考えるそぶりを見せた後再び口をひらいた。


 「レンブラント、この後にある会議が終わったら私の書斎のにリオンをつれて来い」

 「しょうちしました」

と貫禄のある男性が答えると、突然立ち上がり食堂から姿をけした。レンブラントは僕に対して「坊ちゃんあのお方がヒューゴ様になります。お食事がすんだらメイドに屋敷全体を案内させます」と言ったあと、ヒューゴの後を追うように食堂からででていった。僕は胃液と混ざる料理を無理やり胃に詰め込み食事を済まし、使用人に屋敷の案内をしてもらいリオンの部屋に行くようになった。




 
 使用人に連れて来られた部屋は、昨日の惨劇があった場所だった。しかし、不気味なことに惨劇事態がまるで無かったかのように染みの一つも残っていなかった。

 僕はとりあえず何冊かの本を棚から取り出し、赤い髪の女性を殺した場所からできるだけ離れた所で本を読み始めた。そのとき僕は奇妙な感覚に襲われた。

 本を開けると知らないはずの言葉、知らないはずの知識、それらが本をパラパラとめくるたびに頭の中に鮮明に理解することができた。この世界の歴史や国家の法律、レンズに関する知識、本を開けるまでまるで確かに知っていない事だった。しかしそれが、始めから知っていたような感覚だ。 
 
 それから僕はレンブラントが来るまでの間に、ありとあらゆる本に手を付けてみた。本の内容はどれもこれも小学生くらいの子供が読むようなものとは思えないものばかりであり、ふっと辺りを見渡すと玩具の一つも無かった。


 (……ここは本当に子供の部屋か……)  


 と思いながら再び本を読み始め、二十冊目を目を通し終えたときドアが開く音がした。


 「坊ちゃん、ヒューゴ様がお呼びです」


 ドアの近くにいるレンブラントの姿を見たときこれからあるかもしれないことに、僕は覚悟を決めた。

-4-
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