小説『リオン・マグナスに憑依』
作者:空夜()

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 僕はレンブラントに付いていき部屋から出て右手側にある階段を下りて中庭の近くの部屋に移動した。
 
 ドアを開けると、書斎らしく殆どの場所が本棚や何かの資料に埋めつくさていたが、それに関わらず、どことなく風格が感じられ、今、目の前に存在感を放つ男性を象徴しているようだ。


 「坊ちゃんを連れてまいりました」

 「ご苦労だった。レンブラント例の物をもってこい」

 「かしこまりました」


 レンブラントが書斎から出て行き、僕はヒューゴと対面することになった。こらからの行動で僕のここでの立ち回りがある程度の未来が決まるだろう。そのことを頭に入れできるだけ慎重に今の状況をヒューゴから聞き出し「あの世界」との関係性を確かなものにしたかった。
 

 (しかし、どうやって話を切り出そうか……いや、ヒューゴから話すを待つのが得策かな…)


 僕はヒューゴが聞いてくるかも知れない仮想の質問を想像しそれに対する対応を考え込んだ。

 
 「さて、リオン。今のお前はどこまで理解している」

 「申し訳ありません。今まで起きた出来事は一つも記憶にありません。ただ、勉学の方には問題はありません」

 「そうか、学問の問題はないか。ところでリオン昨日の人物に対して気になることはあるか?」

 「すでにいない人物に対しては興味はありません」



 と嘘ついた。気にならないわけではない。どちらかといえば、気になって仕方がないんだ。でも、それ以上に思い出したくはなかった。 
 

 「ふむ、そうか。なら本題にはいるとしよう」
 

 僕が出した回答に満足したのかヒューゴは、まんざらでもなさそうに話を切り出した。  
 

 「昨日、城から知らせがあった。セインガルド王が近い将来お前を客員剣士としてむかえようとっいてるらしい」

 「・・・・・・・」


 僕は驚きのあまり思考が一時停止した。


 「聞いているのか、リオン」

 「はいっ、申し訳ありませんヒューゴ様。驚きのあまりに声が出ませんでした。城に上がるのはいつごろになりますか」
  
 「城に上がるのは来年からだ。むろん最初は見習いとしてだ。それまでにせいぜい腕と知識を磨くんだな」


 と言い終えるとヒューゴ顎をしゃくった。僕は一瞬ヒューゴが悲しげな表情をしたように見えたが恐らく気のせいだろう。 
 
 
 「分かりました。では、今から剣の稽古に向かいます」


  
 今の自分ありかとを大体理解した僕はさそっく行動に移ろうとした。元々僕は学問の方は出来る方だったので勉学の方は、まだ何とかなりそうだが剣は別だ。唯さんの趣味がスポーツチャンバラだったのでそれに付き合う形でやっていたので多少経験があるが、僕はどちらかといえば、演劇に力を入れていたため実力は趣味でやってるていどで「天才剣士」とは程遠いものだ。

 
 「まあ、待て」


 僕は書斎から出ようとしたが呼び止められ


 「熱心なのは嬉しいが、お前に渡したいものがある」

 
 と苦笑した。

 それからしばらくして書斎に戻ってきたレンブラントが白い布にくるまれた何かを持ってきた。


 「遅かったではないか」

 「申し訳ございありません。少々剣に汚れがついておりまして」

 「うむ」


 ヒューゴは乱暴ともとれる手つきで布を剥ぎ取り、そこからは一振りの宝剣が姿をあらわした。そして、ヒューゴはどこか狂気を含んだ笑みを浮かべて語りかけた。

 「どうだリオンよ、見るがいい、美しいだろ。これはかつて私が古代遺跡で見つけたものだ。これを今からお前に与えようと思う」


  とヒューゴは手に持つ宝剣を僕に渡した。鞘に入っているがこの剣が何を知っている。この世界に六本しかない特別な剣。天地戦争に終止符をうった地上軍の最終兵器。


 「ソーディアン……」

 「うむ。気づいたか。そういうことだ今日のところはこいつの手入れをしろ。何しろずっと倉庫に入れいておいたのでな」

 「わかりました。」


 僕はヒューゴにお辞儀をし逃げるかのようにすぐに書斎から出ようとしたがヒューゴに呼び止められた。


 「そうだ。いにしえの戦争には理解してるだろうな。城を出入りするならば、知らないではすまされぬ」

 「大丈夫です。天地戦争についてはある程度理解してます」

 「それならいい。いけ」

 
 と言い終えるとヒューゴを書類に目を落とした

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