小説『リオン・マグナスに憑依』
作者:空夜()

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 「ふぅ」


 自分の部屋(仮)戻るなり、今まで緊張してた状態から開放されドッと疲れが体を襲い息が漏れた。自分がもう自分ではない、そんな逃れようのない現実を突きつけられたにも関わらず昨日見たいに自暴自棄にならないことが自分でも不思議に思った。

 と思いながら後ろ手にドアを閉め鍵をかけ、与えられたばかりの剣を机の上に置き、近くの椅子にもたれ掛かった。


 (最悪だ……よりによってリオン・マグナスだなんて)


 まさか自分が架空のキャラクターになるなんて思いもよらなかった。 
 
 僕はテイルズシリーズはある程度プレイしているそのため「リオン・マグナス」の運命を知っている。「リオン・マグナス」の物語はいくつかあるがそのほとんどが、悲惨な死を遂げる結末である。たとえば的命を捨ててでも守りたい人がただ同情しているだけだったり、ゾンビにされてかつての仲間たちと戦うようなことになる・・・・・・・・・冗談じゃない。こんな未来になってたまるか、こんな人形みたいな運命で死ぬのはは嫌だ、僕は生きる生きるために未来を変える行動しなければならない、でも今の僕はそんな力もない
 

 (まずは力をつける必要がある。不本意だが、しばらくはヒューゴの教育を受けるか……後はシャルティエを扱えるかどうかだな。リオンは資質を持っているが僕はリオンではない、いくら肉体がリオンのものだからってソーディアンを扱える保障にならない)


 持たれかかった体を起こし机の上に置いた剣を見つめた。


 (何も聞こえない。黙っているだけなのか、それとも僕には素質がないのか。恐らく後者あだろ……あ、でも素質がないグレバムが扱えた例がある。そのこと考えると素質がなくても多少は扱えるはず。この考えが正しいかはシャルティエを使ってみれば分かる)
 

 机の上に何かが置かれているのに気づき視線を移すと、紫色のグミが盛られている皿が置かれていた。細くなった指を伸ばし、盛られていおるグミをつまみ口に入れた。


 (うまい)


 口に入れた途端、ジューシーな甘みが口の中に広がり癖になりそうな味に魅了され次々とグミを口の中に入れた。


 『やっぱり疲れたときは甘いものですよね。でも食べすぎはあまり体にはよくないですよ』
 
 「!?」 
 

 誰もいないのに突然声をかけられ、それに驚き勢いよくグミを噴出し辺りを見渡した。
  

 『そになに驚かないでください。エミリオ坊ちゃん』

 「……声が聞こえる。お前がしゃべったのか」

 『はい、エミリオ坊ちゃん』

 「そうか、安心した」

 とポツリと呟いた 
 
 
 『ん?どうゆう意味ですか』

 「いや、何でもない…あと僕はエミリオじゃないリオンだ」

 『どうして変わちゃたんです?』

 「別にどうでもいいだろ……ん、お前こそなぜ僕の事を知っている?」


 何故、初対面のはずのこのシャルティエが「エミリオ」の名前を知ってるのか疑問に感じた。


 『まあ、いいじゃないですか。坊ちゃんは坊ちゃんなんだし、それに』

 
 シャルティエはいったん言葉をくぎり、それから話を続けた。


 『できればもう少し先の事を考えて欲しいですね。今から坊ちゃんは僕のマスターですよ。ぼくがついていれば、これから先は一生負けしらずですよ』
 
  「そうか、これからは頼みますね。切込み隊長殿」


 話を逸らされた事に少し不快を感じ、半分八つ当たりでわざとこのソーディアンが嫌がりそうな事を言ってみた。


 「……残念ながら僕の名前はピーエル・ド・シャルティエ少佐。他のソーディアンと比べて地位は低いですけど実力そこそこありますよ」


 シャルティエはどこか拗ねた感じの口調だった。


 「長いなシャルでいいか?…あと、僕の名前はリオンだ。エミリオじゃない」

 『呼び方は好きに呼んでください。あと、どうして名前が変わっちゃったのです?』

 「知らない」

 『自分のことなのに?』

 「記憶がないんだ、昔の事は何も覚えていない。残念だがお前の質問にも答えられないな」

 
 空気が重くなり会話が途切れた。沈黙を破るかのようにシャルティエが話しかけてきた


 『エミリオ・カトレットそれが坊ちゃんの本当の名前です』

 「何で、そう言い切れる。僕たちは初対面のはず」

 『いえ、坊ちゃんと僕は初対面ではありません。僕が始めてあったのは坊ちゃんがまだ赤ん坊でしたけど』 

 「そうか。それにしてもよく覚えていたな」

 『坊ちゃん見たいな素養がある人は見かけないので忘れませよ。それに坊ちゃん』

 「なんだ」

 『僕がいればさみしくないですよ』
  
 「そうだな、お前みたいな奴がいるとこれからはよろしく頼くシャルティエ。遅くなったがお前の性能見せてもらうぞ」

 僕はすぐに立ち上がり、シャルティエを持ち出し庭に向かい、辺りが暗くなるまで剣を振り回し続けた。

-6-
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