小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 デュエルレーンにて…

 「ふははははは!思い知ったか!此れが『機皇帝』の力だ!!」

 「お、俺のシンクロモンスターが…そんな馬鹿な!!」

 「殺れ!機皇帝でダイレクトアタック!!」

 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



 数分後、此の場所には救急車が駆けつけることになる…









 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel22
 『機皇帝の足音』









 『闘いの王国』から早1ヶ月。
 童実野町の一角にあるコンドミニアムでは割かし平和な日々が…


 「ぬおあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 多分送れている筈だと思いたい…

 「…何してんのよ?」

 「屋根修理してたら足滑らして落ちちまった、取り合えず助けてくれ。」

 逆様に成ってる遊哉と、其れと窓越しに会話する霧恵。
 あ、平和だわ。

 「ちゃんと命綱は付けてた訳だ。」

 「流石に3階から落ちたら死ぬからな。」

 「あんたの場合死にそうに無いけどね。」

 こんな会話をしながらも鋏でロープを切る。

 「よ…サンキュ。」

 で、見事に上体移動をして着地。
 此処で、

 「緋渡、無事か?」

 屋根の上から遊星が呼びかける。
 要は一緒に作業をしていたのだ。

 さらに、

 「そろそろ一息入れたら?」

 アキが窓から顔を出して提案する。







 もう分かったと思うが此の4人一緒に暮らしている。
 アキの場合アカデミアは良いのかとも思うが、既に卒業に必要な単位は習得しているので全く問題ない。
 てな訳で、昼食かねての休憩タイム。

 こう言う時の話題ももっぱらデュエルがメインなのだが、本日は些か異なる。

 「そう言えばまた出たらしいわ。」

 「ファントムか?」

 「らしいな。被害者は病院送りか?」

 「そうみたい。明らかにクラッシュさせる目的でデュエルを挑んでるとしか思えないって。」

 「ふざけやがって…クソッタレが。」

 忌々しげに呟く。
 そう、会話の内容はここ最近頻繁に起きている『ファントム』と名乗る謎のD・ホイーラーによるデュエリスト襲撃事件。
 出没時間は朝だったり夜中だったりと一貫性が無く正にアトランダム。
 唯一の共通点と言えば襲われたデュエリストが全員シンクロモンスターを使っていたという事のみ。
 あまりの情報の無さに警察でも手をこまねいている状態なのだ。

 「何れにせよ用心するに越したこたぁねぇな。つーか出てきたらぶっ潰すけどな(怒)。」

 「怒るのは分かるが…パンが潰れてるぞ。」

 「うぉぉ!?ファントム潰す前に自分のパン潰しちまった!!!」

 「アホかあんたは…ところで遊哉さぁ、今日出かけるって言ってなかった?」

 「は?」

 「『は?』じゃなくて。確か1時とか言ってなかったっけ?」

 只今12:30

 「うぉぉぉ!そうだった!!ちょっくら行ってくる!!」

 慌てて出かける準備を始める。

 「はいはーいさっさと行って来なさい。」

 「気を付けてな。」

 「ファントムに襲われないようにね。」

 「だ〜い丈夫!そいじゃあ行ってきまっす!!」

 外に出るなりエンジン1発!
 軽快なエンジン音と共にジャンク市場へ!








 ――――――








 「ど畜生めすっかり遅くなっちまった。あのオヤジ吹っかけやがって!」

 ジャンク市場で色々と物色した遊哉だが夢中になりすっかり夕方。
 おまけに値切ったりなんだりしていたので余計に時間を喰ったらしい。

 「此れだとレーン通っていった方が早いな。」

 普段は高速道路となっているデュエルレーン。
 確かに普通の道路を使うよりも格段に早く市街地につけるのである。

 「霧恵に怒られるのやだし…行きますか!」

 言うが早いかデュエルレーンにIN!
 一気にスピードを上げ市街地を目指すが…

 「ん?別のD・ホイール?」

 其の直後に後方から漆黒のD・ホイールが追い上げてきた。
 しかもライトをチカチカさせ明らかに挑発している。

 「野郎…ライディングデュエルなら受けてやるぜ!!」

 遊哉もまたアクセルを踏み込む。
 相手もスピードは緩めない。

 遂に2台が横一線に並ぶ。
 此処であることに遊哉が気付く。
 相手のD・ホイール…漆黒の機体に髑髏の紋様をあしらったエンブレム其の異様な外見はつまり…

 「テメェ…噂の『ファントム』か!」

 「如何ニモ!『闘イノ王国』ノ覇者・緋渡遊哉、ソノ実力見セテ貰オウカ!」

 「上等だ此の野郎!!フィールド魔法『スピードワールド2』セットアップ!!」


 ――デュエルモード・ON


 フィールド魔法が発動し周囲の景色が変わる。
 此れより此の場はスピードが支配するフィールドへと変わったのだ。

 同時に2人は更にスピードを上げる。
 第1コーナーを取らんと両者火花を散らす。

 「先攻ハ貰ウ。」

 「く、野郎!」

 強引にインを取り第1コーナーを制したのはファントム
 こうしてデュエルが始まる。

 「「ライディング・デュエル、アクセラレーション!!」」


 遊哉:LP4000  SC0
 ファントム:LP4000  SC0



 「私ノターン!『ウルズ・コア』ヲ守備表示デ召喚!」
 ウルズ・コア:DEF0

 「ターンエンド。」

 様子見のつもりだろうか、守備力0のモンスターを出したのみ。
 対して遊哉は勿論初っ端から飛ばす。

 「俺のターン!」
 遊哉:SC0→1
 ファントム:SC0→1


 「俺は『ヴォルケイノ・ドラゴン』を召喚!」
 ヴォルケイノ・ドラゴン:ATK1900

 「バトル!ヴォルケイノ・ドラゴンでウルズ・コアを攻撃!」

 レベル4以下では最高クラスの攻撃力を持ったモンスターを召喚し先手を打つ。

 「ククク、残念ダガウルズ・コアは1ターンニ1度ダケ戦闘デハ破壊サレナイ。」

 攻撃は弾かれてしまう。

 「ち…ターンエンド。」

 「私ノターン!」
 遊哉:SC1→2
 ファントム:SC1→2

 「カードヲ1枚伏セターンエンド。」

 又してもターンエンド。
 手が悪いのだろうか?

 「俺のターン。」
 遊哉:SC2→3
 ファントム:SC2→3


 「(戦闘破壊不能か…なら!)手札からスピードスペル『Spエンジェル・バトン』を発動。
  自分のスピードカウンターが2個以上あるときデッキからカードを2枚ドローし1枚を墓地に捨てる。
  そしてチューナーモンスター『ソードウィング・ドラゴン』を召喚!」
 ソードウィング・ドラゴン:ATK1600


 「目に物見せてやるぜ!レベル4のヴォルケイノ・ドラゴンにレベル4のソードウィング・ドラゴンをチューニング!
  深淵より生まれし漆黒の爪牙よ、真実の闇で眼前の敵を砕け!シンクロ召喚、暗黒の化神『邪龍皇−ヴァリアス』!」
 「ふ、楽しませて貰おう!」
 邪龍皇−ヴァリアス:ATK2800


 現れたるは闇の龍皇。
 『闘いの王国』決勝で得た新たな仲間である。

 「此レガ噂ノ龍皇カ…ソノ力見セテ貰オウ!」

 「特と拝むんだな!ヴァリアスの効果発動、手札のドラゴン1体を捨て相手モンスター1体を破壊する!消し飛びやがれウルズ・コア!」

 戦闘破壊できないなら効果破壊。
 相手のフィールドをがら空きにすれば大ダメージは確定する。



 ――バリィィン!



 コアがヴァリアスの一撃で粉砕される。
 が…


 「ハハハハハ、掛カッタナ!此ノ瞬間ウルズ・コアノ効果発動!」

 「何だと!?」

 「ウルズ・コアガ効果デ破壊サレタ時、私ノフィールドノモンスターヲ全テ破壊シ、デッキカ手札カラ『機皇帝ウリエル∞』!」
 機皇帝ウリエル∞:ATK100

 「『ウリエルT(トップ)』」
 ウリエルT:ATK300

 「『ウリエルA(アタック)』」
 ウリエル・アタック:ATK1200

 「『ウリエルG(ガード)』」
 ウリエルG:DEF1000

 「『ウリエルC(キャリア)』ヲ特殊召喚!」
 ウリエルC:DEF800


 「んな、行き成り5体のモンスターだと!?」

 ステータスは低いが行き成り5体ものモンスターの展開。
 此れには遊哉も驚かされる。

 「驚クノハマダ早イ!機皇帝ウリエル∞効果発動!」

 其れと同時にパーツが変形し、合体して行く。

 「現レヨ『機皇帝ウリエル』!」
 機皇帝ウリエル:ATK2500


 パーツが合体し現れたのは巨大な人型のロボット。
 それはちょっとしたビルくらいの大きさがある。


 「機皇帝…この巨大ロボットは一体?」

 「クククサァ思イ知ラセテヤルゾ。機皇帝ノ力ヲ!!」

 巷を騒がせている『ファントム』…其の力の一端が遊哉に牙を剥こうとしていた…


















  To Be Continued… 

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