小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 『レディ〜ス&ジェントルメン!!皆盛り上がってるか〜〜〜〜!?
  遂に、遂にこの日がやってきた〜〜〜!!WRG1決勝戦!ライディングデュエルの世界一のチームが今日決定する〜!
  この決勝戦を戦うのは『チーム遊戯王』と『チームEXAL』!どちらも譲らぬ強豪チーム!正に決勝戦!!
  優勝の栄冠を手にするのはどちらのチームか!そしてどんなデュエルが展開されるのか〜〜!!』


 只今AM9:30。
 場所は言わずもがな『童実野中央スタジアム』。

 本日はWRG1の決勝戦。
 この決勝戦を観覧せんと会場は既に超満員。
 立見席を入れても間に合わないくらいだ。

 会場には多数のテレビ局が詰めかけ、上空には放送用のヘリが飛ぶ。
 此れだけでもどれだけこの決勝戦が注目されているかが分る。

 花火が打ち上げられ完全に『デュエルの祭典』である。間違いではないのだが。


 デュエル開始まで30分も有るというのにこの盛り上がり。
 果たしてデュエルが終わるまで会場は持つのだろうか?非常に疑問である。











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel60
 『いざ決勝の舞台!』











 『シンクロを多彩に操り、1回戦、準決勝共に手に汗握るデュエルを見せてくれたチーム遊戯王!
  機皇帝という恐るべき力で1回戦、準決勝共に3人抜きのチームEXAL!
  デッキ相性だけで言うならEXAL絶対有利に見えるが、チーム遊戯王にも未知の戦術がある!
  この決勝戦は全く持って予想が出来ないデュエルが展開されそうだ〜〜〜!!』

 MCの実況は本日も絶好調。
 いや、決勝戦という事で何時もよりも更にテンションが高いかもしれない。

 そして其れに後押しされるように会場が盛り上がるのは最早お約束と言える。


 ファーストライディングまで30分。
 チーム遊戯王のピットでは最終調整が行われていた。


 「うし、全機エンジン問題なし!」

 「デュエルシステムも正常に作動しているな。」

 自分達も走るというのに、遊哉と遊星は余念がない。
 まぁ、この2人以上の整備&調整はプロの整備士でも中々出来ないから仕方ないのだが…

 「最終確認だ。ファーストが霧恵、セカンドが遊星、ラストが遊哉でいいな。」

 「OKよ鬼柳。」

 オーダーの最終確認もして準備は万端。
 後はデュエルの開始を待つだけだ。

 「まぁ、此処まで来たら優勝あるのみだぜ!あいつ等ブッ倒して!寧ろぶっ殺して!!」

 矢張りテンションが上がっているのか遊哉が既に悪役モード入っている。
 セリフがとっても物騒だ。

 誰も気にしないが。

 「しっかし余裕だなあいつ等……最終調整も無しかよ?」

 視線をレーンをはさんで向かい側の『チームEXAL』のピットに向ける。
 EXALのメンバーは誰1人として最終確認のような事は行っていない。

 整備は当然してあるのだろうが、相当自身があるのだろう。

 「何れにしても油断できない相手だ。気を引き締めないとな。」

 「そうね。此処まで来て負けたくはないからね。」

 開始前からデュエリストの闘気は高まっているようだ。








 ――――――








 開場から30分が経ち、AM10:00

 遂に決勝戦のデュエルが開始される。


 レーンのスタート地点にはファーストホイーラーの霧恵とディックがスタンバイ。

 軽量型でスピードと操作性重視の霧恵に対し、ディックのDホイールは重厚な機体強度重視型。
 対照的なマシンの2人は共に無言、話すことなど無い。

 共にエンジンは起動し、シグナル点灯を待つのみ。

 霧恵は目を閉じて意識を集中。
 ディックもまた目を閉じ、此方は腕を組んで集中している様子。


 『両チームのファーストホイーラー迦神霧恵とディック・ガニア、どちらも最高に集中している様子〜!
  間も無くシグナルが点灯!決勝戦の始まりは如何なるデュエルが展開されるのか〜〜!?』


 実況も熱くなり、いよいよシグナルが点灯。


 ――ピッ


 レッドが点灯し、両者ともハンドルを取る。


 ――ピッ


 2つ目のシグナルが点灯。
 エンジン音が高まる。


 ――ピッ


 3つ目。
 後は走り出すだけだ。


 そして…


 ――ピーーッ!!


 『WRG1決勝戦!ライディングデュエル、アクセラレ〜〜〜ショ〜〜〜ン!!!』


 グリーンが点灯!
 両者とも目を開き一気にホイールが飛び出す!

 流石にスピードでは軽量型の霧恵が圧倒的に有利。
 トップスピードに乗るまでに時間がかかる重量型のディックをどんどん引き離して行く。

 「ファーストホイーラーが重量級じゃアドバンテージは取れないわよ?」

 「ふむ、先攻くらいくれてやろう。」

 「言うわね…なら遠慮なく頂くわ!」

 スピーディー且つ滑らかなコーナーリングでファーストコーナーを奪取。
 先攻は霧恵からだ。


 『見事なコーナーリング!先攻は迦神霧恵〜!此れでチーム遊戯王は1回戦から3連続で先攻奪取!
  では行くぞ〜!!決勝戦ファーストデュエル!デュエル……スタートォォォォ!!』


 「「デュエル!!」」


 霧恵:LP4000   SC0
 ディック:LP4000   SC0


 「アタシのターン!手札の『盾の魔導獣戦士』を捨て『トリックスター?or?』を特殊召喚!」
 トリックスター?or?:ATK2000


 「トリックスター?or?は手札の魔法使い族モンスターを捨てることで特殊召喚出来る。
  そしてこの方法で特殊召喚した場合、このカードのレベルを1つ上げる、又は下げる事ができる。
  アタシはレベルを1つ上げてトリックスターのレベルを6にする。」
 トリックスター?or?:Lv5→6


 初手から上級モンスター+レベル変動ときた。
 トリッキーな戦術を得意とする霧恵のデュエルは今日も健在らしい。

 「更にチューナーモンスター『ネコ魔導剣士・銀仁郎』を召喚!」
 「僕もバッチリ頑張るにゃ!」
 ネコ魔導師・銀仁郎:DEF500


 速攻でレベル8シンクロの準備が完了。
 チーム遊戯王全員に言えることだが、兎に角上級シンクロまでのスピードが凄まじい。

 「レベル6になったトリックスターに、レベル2の銀仁郎をチューニング。
  聖なる魂を受け継ぎし水の魔導師よ、清き力を我が前に示せ。シンクロ召喚!不浄を流せ『聖水霊魔導師−エリア』!」
 『全力全壊、絶好調!』
 聖水霊魔導師−エリア:ATK2500


 1ターン目からエースのお出ましと来た。
 毎度ながら目を見張る早さだ。

 「銀仁郎の効果でカードを2枚ドロー。…カードを2枚伏せてターンエンド。」

 先攻1ターン目は攻撃できないとは言え、初手からレベル8のシンクロを繰り出しリバースセットともなると霧恵に分があるように見える。

 だが、ディックとて並みのデュエリストではないのは明白。
 更に機皇帝と言う力を従えているため、この布陣でも油断は出来ない。

 「私のターン…!」


 霧恵:SC0→1
 ディック:SC0→1


 「私は『ウルズ・コア』を守備表示で召喚。」
 ウルズ・コア:DEF0


 対するディックは機皇帝の基点となるコアモンスターを召喚。
 速攻で機皇帝を狙う気だろう。

 「カードを3枚伏せてターンエンド。」

 しかし、霧恵の霊魔導師には太刀打ちできないので此処は伏せ3でターンエンド。
 序盤は双方まずまずの滑り出しと言えるだろう。

 「アタシのターン。」


 霧恵:SC1→2
 ディック:SC1→2


 「アタシは手札からスピードスペル『Sp−エンジェルバトン』を発動。
  スピードカウンターが2つ以上あるときデッキからカードを2枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。
  ……アタシは『星砕く魔導師』を墓地にすて、チューナーモンスター『祝福の魔導騎』を召喚。」
 『私は…まだ飛べるのだな…』
 祝福の魔導騎:ATK1500


 「祝福の魔導騎の効果で墓地からレベル3以下の魔法使いを特殊召喚する!戻ってきて『盾の魔導獣戦士』!」
 『守護の勤め、果たして見せよう!』
 盾の魔導獣戦士:DEF1300


 あっという間にフィールド上にはシンクロモンスター1体とチューナーが2体の布陣が出来上がり。
 最早『手加減て何?』とでも言わんばかりの状況だ。

 同時に霧恵のデュエリストオーラが燃え上がり、眩い光を放ち始める。

 「漲る…満ちる!このアタシの魂が!砕け得ぬ我が魂『ダイヤモンドソウル』!」

 その光は弾け、絶対不砕の金剛石の如き強さを放つ。

 「レベル8の聖水霊魔導師−エリアに、レベル3の祝福の魔導気とレベル1の盾の魔導獣戦士をダブルチューニング!
  大いなる魔導と優しき心が今此処に交わる。砕け得ぬ魂よ、無限の力を我が前に示せ!シンクロ召喚、清き流れ『神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ』!」
 『機皇帝の好きになんかさせないから!』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK3200


 僅か2ターン目で呼び出された最高レベル12のシンクロモンスターに会場は否が応でも沸きあがる。
 加えてこのモンスターは昨日の準決勝で神をも圧倒したモンスターなのだから当然だろう。

 「エリア・ヘカーテはアタシの墓地の魔法使いチューナー1体につき攻撃力が700ポイントアップするわ。
  アタシの墓地の魔法使いチューナーは3体!エリア・ヘカーテの攻撃力は2100ポイントアップ!」
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK3200→5300


 更に攻撃力もアップ。
 加えて、

 「エリア・ヘカーテの効果発動!自分のターンに相手フィールド上のモンスター全てのくかを無効に出来る。
  この効果で、ウルズ・コアの効果を無効に。此れで戦闘破壊できるわよね?」

 更なる効果でウルズ・コアの『1ターンに1度だけ戦闘で破壊されない』効果を無効に。
 此れで戦闘破壊が可能になる。
 コアは効果破壊でないと『機皇帝』とそのパーツを呼ぶことは出来ない。

 そういう意味ではこの効果は非常に強力と言えるだろう。

 「バトル!エリア・ヘカーテでウルズ・コアを攻撃!」
 『行っけ〜〜!『激流のクリスタル・ストリーム』!」

 「其れは通さん。トラップ発動『和睦の使者』この効果で戦闘ダメージはプレイヤー、モンスター共に0だ。」

 だが、ディックとてコアの弱点くらいは承知済み。
 防御系カードで此処を凌いで見せた。

 コアを戦闘から護るカードも入れてあるのだろう。


 「コアを…アタシはこれでターンエンド・。」

 「私のターン!」



 霧恵:SC2→3
 ディック:SC2→3



 「トラップカード『ツイン・ボルテックス』。互いのフィールド上のモンスターを1体ずつ破壊する。
  私は私のフィールド上のウルズ・コアとお前のフィールドのエリア・ヘカーテを破壊する!」

 「無駄よ!『盾の魔導獣戦士』を素材とした事でエリア・ヘカーテは効果耐性を得てる!」
 『こんなの効かないよ!』


 効果耐性を得てエリア・ヘカーテは無事。
 だが、ディックの狙いはそもそも『コアの効果破壊』にある。
 そういう意味ではエリア・ヘカーテを破壊できずともその目的は達せられたと見るべきだろう。


 ――バリィィィン!


 降り注いだ雷がコアを粉砕。
 同じ雷を食らったエリア・ヘカーテは涼しい顔だ。



 兎も角此れでディックの狙いは成立だ。

 「ウルズ・コアが効果破壊されたとき私のフィールド上のモンスターを全て破壊し、デッキか手札から『機皇帝ウリエル∞』!」
 機皇帝ウリエル∞:ATK100

 「『ウリエルT(トップ)』」
 ウリエルT:ATK300

 「『ウリエルA(アタック)』」
 ウリエル・アタック:ATK1200

 「『ウリエルG(ガード)』」
 ウリエルG:DEF1000

 「『ウリエルC(キャリア)』を特殊召喚!」
 ウリエルC:DEF800


 狙い通りに機皇帝とパーツが揃った。
 となれば当然…

 「機皇帝ウリエル∞の効果発動!合体せよ…機皇帝ウリエル!」

 号令と共に機皇帝とパーツが変形し、巨大な人型を形成して行く。
 其れは紛れも無くシンクロ使いを恐怖に陥れる存在だ。


 「現れるが良い…『機皇帝ウリエル』!」
 「ギュオォォォォォン!」
 機皇帝ウリエル:ATK2500


 現れた巨大なロボット――機皇帝。
 ファントムの切り札とでも言うべきモンスターの登場。


 対する霧恵の霊魔導師。
 此方はシンクロながら機皇帝にも対抗出来る力がある。





 決勝戦のファーストデュエルもまた、一切の手加減が無いデュエルが展開されるようだ。



















   To Be Continued… 






 *登場カード補足





 ツイン・ボルテックス
 通常罠
 自分フィールド上のモンスター1体と、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。



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