小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 『出た〜〜、機皇帝だ〜〜!!シンクロキラーと言う恐るべき効果を持った巨大ロボット!
  だが、迦神霧恵には其れに対抗できるだけのシンクロモンスターが存在している!
  互いに次はどんな手を打つのか〜!?正に全力全開、いや全力全壊のデュエルだ〜〜!』


 WRG1決勝戦のファーストデュエル、霧恵vsディック。
 互いに2ターン目で自身のエースモンスターを繰り出し、隙がない。

 攻撃力では霧恵のエリア・ヘカーテが絶対有利だが、機皇帝にはシンクロに対する今日力なメタ効果がある。

 「機皇帝…近くで見ると結構迫力あるわ…!」
 『大丈夫!誰が相手でも負けないから!』

 霧恵:LP4000   SC3
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK5300


 「ふむ…」

 ディック:LP4000   SC3
 機皇帝ウリエル:ATK2500


 互いにライフは無傷の4000。
 だが、このデュエルは一瞬の流れで勝負が決まるともいえる戦いだった。











 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel62
 『幻影の狙いとは?』











 先行する霧恵と、追うディック。
 対峙するエリア・ヘカーテと機皇帝ウリエル。

 双方共に真剣そのもの。
 客の期待だって高まっているのだ。


 「行くぞ。ウリエルの効果。1ターンに1度相手のシンクロモンスターを装備できる!」

 仕掛けたのはディック。
 機皇帝のお決まりの効果でエリアをその身に取り込まんとする。

 光の縄のようなものが発射されエリアを捕らえようとするが、霧恵がそうはさせい。

 「甘いわ。エリア・ヘカーテの効果発動。相手ターンに1度このカードを除外出来る。
  そしてこの効果を使った場合、相手モンスター1体の攻撃を無効にする!」
 『結界水晶!』


 除外+攻撃無効の効果でエスケープ。
 合体状態の機皇帝は各パーツでの攻撃が出来ないので、これで霧恵に戦闘ダメージは通らない。

 「むぅ…その効果があったか。カードを1枚伏せてターンエンド。」

 「エンドフェイズにエリアは戻ってくる。」
 『不死身のエリア参上!』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK5300


 エリアもノリノリだ。
 機皇帝相手でも決して怯まない霧恵の影響だろう。

 「アタシのターン!」


 霧恵:SC3→4
 ディック:SC3→4


 「アタシはカードを1枚伏せ、その伏せカードを破壊し、墓地の『星砕く魔導師』を自己再生させるわ。」
 『はい、ご一緒いたしましょう。』
 星砕く魔導師:ATK1400
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK5300→4600


 「そして破壊した『幻惑魔術〜ミラージュサモン』の効果発動。
  伏せ状態のこのカードが破壊されたとき、デッキから攻撃力1500以下の魔法使い1体を特殊召喚する。
  アタシが特殊召喚するのは『次元魔導師ガイツ』!」
 次元魔導師ガイツ:ATK1200


 更なるシンクロの準備が完了。
 一気に攻め込む心算だ。

 「例え相手が誰であろうと、アタシは霊魔導師と共にある!レベル5のガイツにレベル3の星砕く魔導師をチューニング!
  堅牢なる大地の魔導師よ、砕けぬ意志を示現せよ!シンクロ召喚、金城鉄壁『聖地霊魔導師−アウス』!」
 『さぁて…どうしましょうか?』
 聖地霊魔導師−アウス:ATK2300
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK4600→5300



 あっという間に2体目のシンクロ魔導師。

 「星砕く魔導師の効果でデッキから『蒼雷の魔導戦士』を手札に加える。
  そしてスピードスペル『Sp−ツインバトン』発動!
  スピードカウンターが4つ以上あるとき、互いのプレイヤーはカードを1枚ドローしその後手札を1枚捨てる。
  …アタシは蒼雷の魔導戦士を墓地に。で、墓地に魔法使いチューナーが増えた事でエリアの攻撃力もアップするわ!」
 『パワーア〜〜〜ップ!覚悟しなよ機皇帝!』
 神水霊魔導師−エリア・ヘカーテ:ATK5300→6000


 「ならば私は『Sp−ジ・エンド・オブ・ストーム』を捨てよう。」

 互いに手札を入れ替えるが有利になったのは霧恵だ。
 墓地の魔法使いチューナーを増やし、攻撃力は一気に6000!
 更にこのターンでシンクロ召喚したアウスは1ターンに1度の完全効果耐性持ち。
 攻防一体の布陣だ。

 「エリア!」
 『OK!その力…全て封じます!』

 そしてエリアの効果で機皇帝を無力に。

 「むぅ…」
 機皇帝ウリエル:ATK2500
         ↓
 機皇帝ウリエル∞:ATK100
 ウリエルT:ATK300
 ウリエル・アタック:ATK1200
 ウリエルG:DEF1000
 ウリエルC:DEF800


 パーツが分離し、1体に見えていたモンスターは5体に。
 効果が無効にされたのでは機皇帝は只の弱小モンスターに過ぎない。

 「バトル!エリア・ヘカーテで機皇帝ウリエル∞に攻撃!『激流のダイヤモンド・スプラッシュ』!」
 『吹きとべぇ!』


 輝く激流が機皇帝に放たれる。
 この攻撃が通ればディックのライフは一撃で0だ。

 「そう簡単には行かん。トラップ発動『機皇ヴェール』。
  発動ターンのみ『機皇帝』は戦闘では破壊されず、私に対して発生する戦闘ダメージも0になる。」

 だが、ここは対処。
 既に攻撃を完了している為にエリアの攻撃は止まらずウリエルに直撃するも、機皇帝は無傷だ。

 「対処法くらいはあるって事ね…エリアが攻撃をしたことでアタシのライフは1000ポイント回復よ。」
 霧恵:LP4000→5000


 戦闘破壊こそ出来なかったものの、霧恵はライフを回復。
 エリア・ヘカーテは攻撃が成立すればライフが回復するので此れでも充分だ。

 「それにそのカードで護れるのあくまで『機皇帝』のみで戦闘ダメージも機皇帝が戦闘を行う事で発生するもののみ!
  つまりパーツは護れないし、パーツが戦闘を行う事によって発生するダメージまでは0に出来ない!そうよね?」

 「む…気付いたか。流石だな。」

 『機皇ヴェール』の穴まで見抜き、今度はアウスが。

 「アウスでウリエルTに攻撃!お願いね?」
 『任せて。消えなさい、『堅牢のグランド・ストライク』!」

 大地が隆起し、その衝撃がウリエルTを一撃粉砕。
 凄まじいダメージが発生する。

 「むおぉぉぉ…!」
 ディック:LP4000→2000


 一気にライフが半分に。
 たった1ターンで霧恵が大きくリードした形だ。

 「アタシはこれでターンエンド。」

 「機皇帝の効果は復活し、再び1体のモンスターとなる。」
 機皇帝ウリエル∞:ATK100
 ウリエル・アタック:ATK1200
 ウリエルG:DEF1000
 ウリエルC:DEF800
        ↓
 機皇帝ウリエル:ATK2200


 再度合体するも頭のパーツが欠けたなんとも変な状態だ。
 更に攻撃力も下がってしまっている。

 「私のターン。」


 霧恵:SC4→5
 ディック:SC4→5


 「『ウリエルT2』を召喚。」
 ウリエルT2:ATK800
 機皇帝ウリエル:ATK2200→3000


 此れだ。
 機皇帝の特徴である『各パーツのステータス合計が機皇帝のステータスとなる』効果。
 この効果でウリエルは攻撃力が3000まで上昇。

 「パーツの換装ね?」

 「如何にも。行くぞ!機皇帝ウリエルの効果発動!アウスを吸収しろ!」

 再度機皇帝の効果。
 だが…

 「其れは無駄よ!アウスは1ターンに1度、相手のカード効果受けない。」

 ウリエルから伸びた光の縄はアウスに弾かれ霧散。
 又も取り込みは失敗だ。

 「ふむ…成程な。此れでは攻撃したところで水の魔導師の効果で防がれるか…カードを1枚伏せターンエンド。」

 攻撃も無効になるとなっては打つ手無しだ。
 逆に霧恵にはチャンスと言える。

 「アタシのターン!」


 霧恵:SC5→6
 ディック:SC5→6



 ――どういう事?いくら吸収も攻撃も出来ないからって新たなリバース1枚でターンエンドって…?


 だが、その状況に霧恵は疑問を抱いていた。
 あまりにも簡単にターンを流したとしか思えないのだ。


 ――計3枚が狙いのカード?それとも単純に手札事故…
 「…どっちでもいいわ。何があろうとも倒すだけ!エリア・ヘカーテの効果で再度機皇帝の効果は無効よ!」

 「ぬ…だがウリエルTは1ターンに1度効果を受けぬ。」
 機皇帝ウリエル:ATK2500
         ↓
 機皇帝ウリエル∞:ATK100
 ウリエルT2:ATK800
 ウリエル・アタック:ATK1200
 ウリエルG:DEF1000
 ウリエルC:DEF800


 ウリエルT2の効果を受けない効果もパーツ分離されては意味が無い。
 再度、5分割された機皇帝にはなす術はないだろう。

 「ファーストデュエルはとらせてもらうわ!カードを1枚セット。
  バトル!神水霊魔導師−エリア・ヘカーテで、機皇帝ウリエル∞を攻撃!『激流のダイヤモンド・スプラッシュ』!」
 『今度こそ…此れで終わり!!』

 
 先程はかわされた激流が再び機皇帝を襲う。
 だが、今度はディックも動かない。


 ――バシャァァァ!!


 その激流は機皇帝を飲み込み爆散させる。
 次いで、機皇帝が破壊されたことで発生する誘爆効果でパーツも全て吹き飛び…

 「ぬおぉぉぉぉ!!」
 ディック:LP2000→0


 ディックのライフも0に。
 だが、ここからの効果発動が残っている。

 「見事だ…だが!永続トラップ『無限霊機』『無限牢』発動!
  『無限霊機』は私が受けた戦闘ダメージ100ポイントにつきカウンターを1つ乗せる。
  私が受けた戦闘ダメージは5900…よって59個のカウンターが無限霊機に乗る。」
 無限霊機:カウンター0→59


 「そして『無限牢』の効果。手札1枚を捨て自分の墓地のモンスター1体を永続魔法扱いで魔法罠ゾーンに表側表示で置く。
  私はこの効果で手札を1枚捨て、墓地の『機皇帝ウリエル∞』を魔法罠ゾーンに置く。」

 「モンスターを永続魔法扱いで…其れが狙い?」

 「さて如何かな?くくく…まぁ、このデュエルはお前の勝ちだ迦神霧恵よ…」

 意味深な言葉を残しディックは自チームのピットへ。


 『決まった〜〜!!機皇帝の効果を封殺し、迦神霧恵ファーストデュエルを無傷で制覇!
  だが、ディックも敗れはしたものの2枚の永続トラップでなにやら狙っている様子!!
  チームEXALのセカンドホイーラーは、果たしてこの2枚を如何使って反撃の狼煙をあげるのか〜〜!!』


 MCがハイテンションの実況を続ける中、霧恵は『矢張りおかしい』を感じていた。


 ――幾らなんでも簡単に倒されすぎじゃない?アタシの霊魔導師が幾ら機皇帝に強いって言ったからって…


 どうしても拭えない違和感。
 其れは実に『嫌な感じ』で霧恵に纏わりついていた。








 ――――――








 「ふぅ…まぁ、アレくらいならば不自然ではないだろう?」

 「対外的に見れば。尤も迦神霧恵と、過去に機皇帝と戦っている遊哉と遊星は違和感くらいは感じてるでしょうけど。」

 ディックが戻ったチームEXALのピットではディックと雪花がこんな会話を。
 詳細は分らないが、ディックの負けはどうやら『チームの戦術』の様子。

 奇しくも霧恵が感じた『簡単に倒されすぎ』との感覚は間違いではなかったのだ。

 「最終的に私達が勝てばそれで良い。そういう意味では見事だったわ。」

 「ふふふ…全ては目的成就の為…」

 陰謀全開といった感じだ。
 セカンドホイーラーであるフレディの準備も出来ている。


 「グフフフフ…出番ね?燃えてくるわぁ…遊星ちゅわ〜〜〜ん!」

 「!!おい、変態!お前目的は…!!」


 ――ドバシュゥゥゥン!!


 録に話し聞かずに変態発進。
 此れには雪花も唖然とするしかない。

 「あのアホめ……手筈通りにやらなかったら滅殺してやる…」

 「むぅ…あやつめ…」

 手の付けられない変態が飛び出していったのを見ながら一言+溜息。
 セカンドデュエルは、果たして如何なる展開になるのであろうか…






 「グフ、グフフフフフフ…待っててね遊星ちゅわ〜〜ん!貴方を引きずり出して見せるわよ〜〜♪」


 少なくとも碌な事にはならないだろう。


















   To Be Continued… 






 *登場カード補足




 Sp−ツインバトン
 スピードスペル
 自分のスピードカウンターが4つ以上ある時に発動できる。
 互いのプレイヤーはデッキからカードを1枚ドローし、その後手札を1枚捨てる。



 機皇ヴェール
 通常罠
 発動ターンのみ自分フィールド上の「機皇帝」と名の付くモンスターは戦闘では破壊されない。
 またこのターン「機皇帝」と名の付くモンスターが戦闘を行う事によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。



 無限牢
 永続罠
 1ターンに1度、自分の手札を1枚捨てて発動できる。
 自分の墓地のモンスター1体を選択し、永続魔法カード扱いとして 自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く。
 このカードを墓地へ送る事で、このカードの効果で魔法&罠カードゾーンにセットした モンスターを自分の手札に戻す事ができる。



 無限霊機
 永続罠
 自分が受けた戦闘ダメージ100ポイントにつき1個のカウンターをこのカードに乗せる。
 このカードが破壊されたとき、このカードに乗っているカウンターの数×100ポイントのライフを回復する。



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