小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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同日。学校。保健室。昼(直前)。

「ん〜、ここは……」

もうすぐ昼食を迎える学内で、一人の少しだけ不運な少年・真堂李玖は、片方の鼻の穴にティッシュを積めたままベッドから目覚め、デタラメに多数のくぼみがある白い天井を見た時に、自ら清楚を彩らせる『白』に包まれた部屋・保健室にいたことに気づく。

「あれ? なんで俺……」

なぜ真堂がケガをした覚えはないのに保健室にいるのか、それは2・3時間目の『体育』に原因があった。

朝のHRが始まって友近が元のクラスえ戻ったその後、1時間目の授業である『数学』に真堂は苦戦しながらもなんとか終え、次に待っていた2・3時間目の『体育』に専念する。授業内容は『男女共同のクラス対抗戦の野球』で、真堂のクラスの相手はちょうど友近のクラスだった。まず最初はウォーミングアップということで、10分間のキャッチボールをすることになった。それから数分たった後に真堂がパスを伺う途中、「李玖〜」と向こうから球を投げる体制で呼ぶ獅郎を見て、それに対応するように球を受けとる構えを見せた。すると獅郎は「昨日借した1000円返せぇーっ!」、という大きな掛け声を放ったと同時に豪速球を投げうち、それが真堂の顔の真ん中に直撃―――流血に近い鼻血を流した状態で気絶した。
 そのことで真堂は一時的に行動不能になったので、保健係である神崎が彼を保健室のベッドに連れて行き、今に状態に至るのであった。


「獅郎……1000円ではなく、100円の間違いなのでは……?」

獅郎に昨日借りた金の金額が、考えなしに10倍になっていたことに真堂は呆れると同時に大きくため息をはいた。

「はぁ〜……―――」

「ちょっ……! ダメだってば」

「あらいいでしょう。ちょっとくらい……」

保健室のベッドに真堂はしばらく横たわっていると、U型のカーテンに覆われた隣のベッドから女子生徒らしき二人が、なにやら妖しいささやき声が聞こえた。

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