小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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「おまえら席に着け〜、HR始めっぞー」

相変わらず服装と男勝りな口調で、教室に入ってきた真堂達のクラス担任・杉山薫。なにやら部厚い紙の束を持ってきた後に、重苦しい表情を見せながらあることを言った。

「えー……、おまえらが知ってのように最近ここ神奈川で、自殺者が増加している。そのことで知らないと思うが、今このクラスを除く学校に来ていない16人の生徒の内2人が昨日亡くなりました」

杉山の告げたことにクラス一同騒然とした。なんともストレートで不安をあおるような杉山の言動に、批判的な思想を浮かべる生徒は数人いたが、しばらくしてそれがちょっとした恐怖に切り替わり、教室の中には私語が広まった。

「はい。静かに! それにともない学校は『ミセリコルディア財団』に専属のカウンセラーの派遣要請をした。以後の授業は休止して、おまえらには個別にカウンセリングを受けてもらう」

(カウンセリングか……、何年ぶりだろうな……)

過去に真堂は『911』から小学校卒業まで、カウンセリングを受けたことがあり、個人的には約2年ぶりになる。
そして学校はこれ以上自殺者を出さない為、『ミセリコルディア財団』の事業一つである『自殺防止活動』に参加を決定した。このことで学内の生徒達に、自殺願望を抱いている者がいないか診断をし、減少を計ろうとしていた。当然真堂達もカウンセリングを受けて診断されるわけだが、これをきっかけに、『ある嵐』の前兆が来ることはまだ誰も知らなかった。

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