小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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獅郎が話しの本題に切り替えようとした矢先、横から一人の少女が口を挟んで来た。

 「?×2」

 真堂達は声をかけられた方へ視線を向けた。
すると一見真面目そうな面持ちをし、後ろ髪を二つにまとめているその少女は、真堂と同じクラスの『石川岬』だった。

「石川さん? 聞きたいことって」

「二人はその……『ホモ』なんですか……」

「は?×2」

明らかに勇気をふり絞ったような発言に、真堂と獅郎は同時に唖然とした。

「何故に……ホモ?」

唖然しているとはいえ、石川の発言のせいで少し力が抜け、真堂の返す言葉が弱々しく聞こた。

 「その、違うのよ―――」

やっぱり言わなきゃよかったと言いたげな態度で、石川は真堂の視線を痛く感じながら両手で赤面した顔を隠す。

「………だれ?」

石川とは面識がなかった獅郎は、唖然とせずただキョトンとしながら二人の会話を見ていた。

「獅郎は会ったことはないっけ?」

「……どうも初めまして、石川岬です」

「よろしく……」

石川が挨拶を交したところで、真堂は突然の発言について問う。

「それで……ホモっていったい」

「いや……その……なんかいつも一緒にいるから……かな?」

「あ〜なるほどそういうことか」

真堂はその一言で全てを悟った。要するにいつも同じ男の友達と一緒にいる事によって、他者から見た印象だと『そっち系』の人と思われるのは、当然のように誤解されやすい結果だった。

「ちがうちがう、まったくそういうのじゃないから」

「そう……なの?」

『そうだよね、やっぱ聞くのはよそう』

「ん?」

真堂は石川の質問にどことなく違和感を感じた矢先に、少し石川の心の声が聞こえた。どうやらさっきの用事とは、どこか違うことを訪ねようとしていたらしい。
能力といっても相手の『心の中』を読んでも、あまりいい気分ではない為もあり、真堂はそこまで頻繁に能力を使えるわけではなかった。
どうでもいい誤解が解けたところで、石川はクラス委員の仕事があった為、真堂達を後にしてその場を去った。

「……悪い人じゃないのは確かなんだけど」

「どんなやつなんだ?」

頭を傾け、石川をどういう人間なのかを少し考え始めた真堂。

「どんな……人のかって言うと、入学式に校舎があんまり広くて、どこに自分のクラスがあるのか分からなくってさ。その時、石川さんが親戚にクラスを教えてくれたんだよ」

「ふ〜ん」

「それでね―――」

しばらく真堂は石川について話した後、授業が始まるチャイムが鳴った。

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