夕方。放課後。
時刻は午後3時を過ぎようとしていた。
「……獅郎」
「………」
「し〜ろう……」
「ん……あぁ?」
学校の放課後。真堂は午後の授業からHRえと、ぶっ続けで寝ていた獅郎を起こそうとしている。
「もう授業は終わったよ―――っていうかもう放課後!」
「えぇ……何がぁ……」
起きたはいいが獅郎はまだ寝ぼけていた。
「もう帰る時間だから一緒に帰ろうよ」
呆れた顔で獅郎に問いかける真堂。
「んあ? ふぁぁ〜……ごめん、先に帰ってて」
獅郎はあくびをしながら真堂の誘いを断る。眠気混じりな言葉で「もうちょっと寝かせてくれぇ……」と言って、再び寝込んでしまった。
「わかった……―――寝不足だったのかな……?」
「ん〜……」
気を使うように真堂は鞄(かばん)を腕にかけ、静かに教室を去った。
二時間後―――。
「ZZZzzz……」
部活動が終わる頃になっても、窓から薄暗く照らされた夕日の光が差し込む教室に相変わらず獅郎は熟睡している。
「ZZZzzz……」
そんな時、安眠中の獅郎から近づこうする少女がいた。
「……あ……あの〜」
少女は獅郎に声をかけ、手を差しのべようとしながら何か困った表情でいる。
「あの〜」
「ZZZzzz……」
「もしも〜し」
「ZZZzzz……」
「お〜い」
「ZZZzzz……」
(……起きない)
少女がなんど声をかけても獅郎は起きない。だが諦めずに何か奥の手を使おうとしていた。
それは―――
「……お客さん終電ですよ」
「―――なに!」
「ひぃ! お、起きた……!」
「ん?」
「ど……どうも」
なんともベタな方法で、完全に眼を覚ました獅郎は、瞬時に立ち上がり、目の前いる少女を観察するかのように上から下まで見た。その後、一度だけ面積がる少女だったので名前を思い出そうとしていた。
「あ〜確か、いし……石……」
「あの―――」
「あーちょっと待って今思い出すから」
「はあ……」
「いし……石……山!」
「川です……」
やっと名前を思い出したが、半分しか当たってないという結果に、石川岬は少し呆れた表情でため息ついた。
「んで、なんか用」
「あぁ……り……李玖くんの事についてなんだけど―――」
「ホモじゃねえぞ」
「いや、それはもうどうでもいいとして―――崇妻くん」
「ん?」
石川は何か覚悟を決めた眼差しで、獅郎にある事を問いかけた。
「李玖くんが、あの911の被害者だって本当?」
「……ちっ」
獅郎は舌打ちをして、石川の視線を反らしてから、椅子に倒れ込むように座る。そこで目を閉じながら考え込んだ。