小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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その小さな願いはシンプルでとても忘れ難いことに過ぎなかった。

少年の母は夫の死を認めきれずにいた。

ただ一番下の息子にやつ当たりをして心の飢えをしのぎ―――

ただ週に一度に独りでに泣き崩れ、個人の絶望を紛らわし―――

ただ安らぎを求めず、自らを戒めた―――

そのことで少年の『心の傷』は広がる一途をたどっていた―――はずだった。

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