小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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同年7月1日。金曜日。真堂家。キッチン。朝。

「石川さん……昨日どうしたんだろう?」

7月初日。夏休み前の最初の海開きの季節に真堂は、昨日の木曜日に学校を欠席した石川を心配しながらボヤく。

何事もなく無事に母の見舞いを済ませた翌日の朝、学校でもうすぐ行われる夏休み前のテストの範囲に、わからない点がかなりあった真堂は、クラスの中で2番目に頭がいい石川岬の教えてもらおうとした。だが待っていたのはよかったものの、欠席で休みという残念な結果で1日が終わり、今に至るのであった。

「獅郎に教えられてもらおうにも、事前に勉強せずともハードなテストこなす奴だからな〜……」

ちなみに真堂のクラスの中で一番に頭がいいのは獅郎である。

「かなりピンチだ……―――ん……んん!」

朝食パンの表面ににバターを塗り終わってから口に運ぼうとしながら、視線をテレビ画面に向ける。するとフ○テレビのめ○ましニュースで、最近話題になっている『神奈川の自殺者の更なる増加問題』の次に、ある事が報道されていた。それは『資本主義の怪物・ロギアお忍びで日本に訪問!』と、当然ながら全メディアの『T○S』・『日○レ』・『N○K』とその他もろもろのチャンネルを含み、みな二つ名を入れた内容で報じられていたのである。

「本当に有名人だったんだ……」

そう言いながら真堂はおとといあったばかりのロギアに対して、改めて彼のことを本当の有名人だということを知った。

「なんだ李玖、いつから経済に目覚めたんだ?」

「いや、このテレビ映ってる人が両親の友達らしいんだけど……てっ―――うわぁっー! 獅郎いつの間に!」

ロギア関しての話題をやっているニュースに集中しすぎて、真堂は勝手に家に入ってきた獅郎に遅れて気が付いた。この場合の獅郎はノックやインターホンをせずに、たまに警察ザタにならない程度に真堂の家に『不法侵入』をする時がある。

「ドアの鍵開いていたから……かな?」

「なぜに疑問形!」

朝っぱらから頭のネジが一本外れたような獅郎の発言に、真堂は大抵のツッコミで対応する。

「ウソだよ。本当は裏口に入ったんだよ」

「獅郎、家に裏口なんてないんだけど……」

「じゃあ表―――」

「どっちだ!」

面倒くさく適当に言い訳する獅郎に、テーブルを大きく叩いて激怒する真堂。

「まああれだよ。お前の家は無用心すぎるってこったな」

「獅郎、そう言って簡単に閉められるなんて甘いからね……」

「そう言うなって、一緒に学校行こうぜ。それとお前の朝飯食わせて」

「しょうがないな……」

この親友の漠然としていて馴れ馴れしい態度は想定ずみだった為、それ以上の怒りは込み上げてはこなかった真堂。ちょうど余分に作ってしまっていた朝食を真堂は獅郎にも食べさせて、それから学校に向かうのであった。

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