「―――なんかしたか?」
今までのように貫けず、いとも簡単に防がれたからである。
「!×2」
奇襲を打って出た二人だが、それを破られたことで二人は驚きを隠せずに戸惑う。それと彼ら驚いた理由はもう一つ、ハープメイが真堂の攻撃を防いだのは、信じられない事に、大気に舞う固体化したタバコの煙が盾になったのだ。
「俺たち『邪号保有者』はよう、苦労の末に手に入れた強者の証としての持ってんだよ。それをなんだ? たかが奇襲で、この俺を倒せるとでも思ったのか? おかげで酔いが冷めちまったよっ!」
「―――がっ!」
自らの身分の本質を説き終えた直後にハープメイは、攻撃を防がれたことで手を止めていた真堂の顔面を殴り飛ばす。
「この能力便利だろう〜。俺の力は、空気中の酸素や煙といったあらゆる物質を鋼鉄のように固体化させられ、形状は刃物から棒状まで自由自在。これが俺の能力・『フームス・インサニオ(楽煙の狂気)』。強力なだけにかなりレアな能力らしくて、習得すんのに結構苦労したが、今は自分の命を救えるほどのお手前よ。ケタケタケタケタ!」
非常で強力な悪魔として恐れられたハープメイだが、要因はそれだけに収まらず、彼らにとってかなり厄介な能力を持っていた。
「く……こんのぉっ!」
唯一の秘策が敗れたことでアベルは、相手にとってはコケ脅しに近い、自慢の格闘で攻撃するが―――
「おっとっと! おいおい大事なマイドールに傷でも付ける気かよ―――失せろや」
アベルの右ストレートに対し、ハープメイは能力を使わず、向こうにいた催眠状態の青い目の美少女を、いつの間にか取り寄せて盾の変わりした。
「なっ……!」
当然アベルは攻撃をするわけにもいかずに、途中で止めてしまった。そのスキに乗じたハープメイは『フームス・インサニオ』で、タバコの煙を大きい鋭い刃物の形に変えさせ、アベルの腹部を突き刺した。
「―――ぐは!」
そのことで膝まづき、傷つかれた体内からは胃液や血液といったものが逆流し、アベルは大量に血を吐き始める。だが片手で口を閉め、わずかに吐く量を抑えようとしていることから、周囲にまだ意識があることを悟らせる。
「あらら〜? 『噂の奴』かと思ったら、案外あっけないもんだね〜。ケタケタ!」
(ちっくしょう……。やっぱり力事態がかなりなまってやがる……)
あることを呟きながら弱っているアベルを見下げながら、ハープメイは奇妙な高笑いをする。
「な……なんで……?」
向こうで起きている現状とは別に、目を丸くした真堂はあることに驚きを隠せずにいた。それは―――