[冒頭]
世界の歴史の主軸は『戦争』である。軍事力を用いてさまざまな思惑が交差する中で、政治目的を達成しようとし、人種・民族・宗教など、互いの理由や違いによって人間達は、自衛や利益の為に対立しあい傷付けあった。
戦争の勝敗によって異なる特徴とも言えるのは、戦いに勝利した事で、その暴力は正当化され正義であり、また敗北した事でその暴力は不当なものとされ悪と観なされる事である。そんな法則に人類は、無意識に従うかのように争いを続けた。
特に世界が西暦20世紀を迎えた頃、この時代はまさに『戦争の世紀』と言っても過言ではない。故にその時代で起こったある二つの戦争は、大規模な死闘が繰り広げられた。
ただの小競り合いから世界規模にまで発展した『第一次世界大戦』。
ファシズム(恐怖政治)による一部の国の暴走を原因とした『第二次世界大戦』。
―――という『国家間の戦争』が主流であり、終結と同時に人類は多大なる反省を強いられた。
そこでさらに1世紀が起った21世紀初頭。新世紀を迎えてまもなく、ある一つの大事件・『911』をきっかけに、世界を分断した『冷戦』に続く、新しい戦争形態が誕生した。
反共から反テロ時代に移った世界に対して迎えられた新しい戦争。
それは『見えない脅威への戦争』である。
この物語はそんな時代を懸命に生き続ける少年達の物語である。