小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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「ここか……」

薄暗い見知らぬ立体駐車場。家を後にした真堂はこの場所に着いてから、あることを考え始めた。

一週間前。真堂の携帯電話から何度か届いた、謎のメールがことの発端だった。
アドレスは見知らぬもので、そのメール内容自体は三つある。
 一つ目は「君はこの世に神が居ることを信じていますか?」と、なにかのいたずらだと思い無視した。
 だが二つ目のメールは「不老不死なりたいと思ったことはあるかい?」と、次第に意味不明な内容に仕上がっていた為、真堂は少しだけ気になり始める。
 そして三つ目の今日は「君が体験したあの911は、ただのテロではない。真実が知りたいなら、『×××‐×××‐×××』朝までにこの住所に従い、立体駐車場の三階にこい」とのこと。メールの内容は、明らかにあの事件を語っている。さすがにイタズラメールにしては個人的にかなり立ちが悪く、真堂は無知なゆえ、躍起になる感情に歯止めがかけられず、一人で乗り込んで来てしまった。

「なんなんだよ……いったい……」

メールの送り主を気がかりだが、真堂は妙な事に気が付いた。それは待ち合わせ場所に着いてから、車が一個も駐車していなかったことである。
当然、中には人がいる気配はまったくない。見知らぬ場所といえど、周囲には古びた様子はなく、今いるこの立体駐車場は廃棄された所でないことが分かる。

「はぁ〜、やっぱりなにかのいたずら―――」

 一瞬だけ不安が過るが、ただの偶然だと思いやるせない気持ちでボヤいた矢先―――

「―――真堂李玖くんだね」

「!」

さっきまで人の気配すら感じなかった駐車場だったが、突然真堂の真後ろに聞こえた一人の男の声よって状況は一変した。
 そして訪ねてきた声の主を見る為に、真堂は瞬時に後ろを振り向く。

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