ジョニーが真堂の質問に答えようとした直前。
突然向こうから、刃渡り1〜2メートルで幅が広い刃物がジョニーの脇腹を貫いたのだ。
「―――がはっ!」
「ジョニーさん!」
刺されたと同時に倒れ込み、真堂は慌ててジョニーに駆け寄る。
「いったいなにが!」
真堂が見たところ、刺されている部分からジョニーが着ているロングコートに血がにじみだしていることが分かる。
「なんだ……これは……いったい……どっからこんな物が―――」
真堂が驚くのも無理はなかった。なぜならジョニーが刺されている物はただの刃物ではなく、RPG物のゲームでよく似る一本の大剣だった。
「―――ま……さか……組織の手が……ここまでゴホッ! 広がって……いたとはゴホッ! ゴホッ! 」
ジョニーは少しずつ吐血しながら言った台詞は、口内に香る血生臭い匂いに耐えているものだった。
「喋らないで! 今救急車を―――」
「ダメだ……」
「え?」
真堂が救急車に携帯で連絡しようとした。するとジョニーが傷口を押さえていた手で携帯電話を下げさした。
「どうやら……僕の予想より……組織の手回しが……早かったらしい」
「そんな……じゃあ俺はどうすれば!」
「……逃げろ……」
「……え?」
本当だったら意識を保つのがやっとのはずのジョニーだが、それでも喋り続け、真堂をなんとしてもこの場から立ち去らせようと説得する。
「クッソぉ……。まさか……やつら……あれまで投入してきたとは……思わなかったなぁ……」
「え……何を?」
「なんでもないこっちの話だ……。とにかく急いでここから逃げるんだ! やつらに捕まったら……ただじゃすまされないぞ……!」
「そんな……」
ふと呟いたその言葉に食付き欠けるが、ことごとく流され、ジョニーは痛みを忘れたかのように真堂に警告する。
「で、でもジョニーさんは?」
「僕の方は大丈夫だ……」
「大丈夫って……、そんな体でどうやって逃げられるっていうんですか!」
かなり緊迫した状況でも、自分の身よりもジョニーの身を心配するかのように真堂は怒鳴った。
「そうだな……普通の人間だったら死んでいるだろうね……」
「……え?」
「いやそうじゃない……僕のことはどうでもいい……。必ずまた会いにくる……だから……今は逃げるんだ!」
ジョニーのその発言にうそ偽り感じられなかった為、未だに逃げずにいた真堂はよけいに動揺する。
「うっ……ち、ちきしょう!」
後ずさりした後ジョニーに背を向け、知りたいはずの情報を聞き逃した気持ちでいっぱいなった状態で、悔やみに悔やみ切れずに真堂はその場から走り去った。
(ちきしょう……やっと……やっとあの事件から解放されると思ったのに……)
幾多の迷いから復帰れないまま真堂は全速力で家に帰るのであった。