昼休み。学校の屋上で昼飯を食した後、真堂はあまり説得力には自信がなかった為に、獅郎に身振り手振りをしながら、昨日の出来事について全て話し始めた。
10分後。
「で……そのジョニー・蓮=マーキスって人が、911はただのテロないと、実際に仕組まれた事だと……」
「うん……」
「それで、ある人に頼まれておまえら家族を監視されてたと」
「……うん」
「で、その人が何者かが飛ばしたかのように大剣が刺さって、瀕死の状態とも関わらず、おまえに逃げろ言われ、おまえは逃げたと……そう言いたいんだな」
「う……うん」
「仮に……」
「……ん?」
「他の人にその事を喋ったとしたら……誰も信じねえだろうな」
「やっぱり……そうだよねえ」
獅郎に昨日の事について話したはいいが、あまり信じてはいないことを真堂は悟った。
「陰謀……フリーメイソンねぇ」
「やっぱ……こんな話ししても信じてくれないよね」
「いや……信じよう」
「え……どうして」
「おまえが俺に嘘ついたってなんのメリットもないだろ。それに、おまえがそんなんで、嘘つくほどうまかねえだろうし」
話を信じた獅郎は思いやりが効いた言葉で、真堂にちょっとした安心感が持たせた。
「獅郎……」
「り〜ぐ〜ぐ〜ん」
屋上の出入口から真堂達に、幽霊にも似た視線を送っている主の正体は石川岬だった。
「どうしたの石川さん!」
「ね……そく」
「……は?」
鉛のように重い瞼を持ち上げながら話す石川。眠気と疲労が同時に重なり、あまりろれつが回らない事が分かる。石川は話しをかけている真堂には、目の下のクマが酷い為、顔が見えないように話しを進める。
「ねぶ……く―――寝不足」
「ああ……そうなんだ。それで……なぜに寝不足を……」
「………」
真堂は寝不足の原因を恐る恐る聞こうとするが、石川は黙ったまま土下座の体制で体を沈める。
「え! あの……」
その体制にどんな思いが込められているのか分からないが、驚いた真堂はすぐに止めにようとする。
「止めないで、今ものすごく申し訳ない気分なの!」
「いや意味分かんないから、ていうかどうしたのその顔」
「あの事を考えてたら……眠れなくて」
「あの事?」
「詳しくは獅郎くんに聞いてください」
「獅郎に?」
真堂は獅郎を細い目でみた。そしてギクリと冷や汗を流しながら、獅郎は真堂の視線を反らす。
「……獅郎?」
「………」
「獅郎……俺の目を見て、怒らないから」
「………」
「獅郎……石川さんになにかいったの……」
ぼんやりとニヤついた顔で真堂は、獅郎に石川の意味不明な行動について問いかけた。
「……実は―――」