「杉山先生!」
「ハァ……ハァ……ここにいたか真堂ぅ……」
カゼで病院通いを理由に昼頃に学校に来た杉山は、職員室に入ったはいいが、自分の机に座ったとたん電話がかかってきていやいやでた。すると電話の相手先は警察だったことに驚き、真堂に関する連絡だった。その連絡内容を聞いて杉山は慌てて校内に真堂を探しに行き、今に至るのであった。
「どうしたんですか、そんなに急いで」
「ハァ……真堂……ハァ……落ち着いて……聞いてくれ……」
「なんですか」
「おまえの……兄ちゃんが―――」
杉山の言葉に真堂は思わず耳を疑った。信じる信じないかの問題ではない、ただ認めたくなかったのだ。なぜなら真堂が聞いたのは、兄・真堂陽一が亡くなったことを告げていたからである。
あの時―――真堂は父を亡くした事で人生を変化したように、今度は兄を亡くした事で真堂は新たなる人生の一変と、試練の扉えと導くとは知るよしもなかったのだ―――