小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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真堂の反応を楽しんでいる途中、神崎は後ろから肩を人差し指でトントンと叩かれ、その叩いた人物の方向を振り向いたその瞬間。突然、神崎の片方の頬に衝撃が走った―――殴られたのである。

「痛っ!」

神崎は殴られた衝撃で、一年三組のと違う隣の下駄箱に倒れ伏せるように飛ばされ、右頬と後頭部にかなりのダメージをうけた。

「痛ってーな……いったいなに―――」

「うせろ……」

「し、獅郎!」

神崎を突然殴った本人が獅郎だと分かったことで、真堂はちょっとした安心感を覚える。

「ん、獅郎? ああ……崇妻獅郎だっけ? 挨拶にしては積極的すぎないかい……」

起き上がった神崎はひるまず余裕を見せた表情で、獅郎に挑戦的な態度をとる。

「うせろって言ってるだろ……!」

「なになに、『白馬の王子様』気取りぃ〜―――うぐっ!」

挑戦的な態度をとったものの、獅郎に強い力で制服の襟首を掴まれたと同時に、神崎の首と共にしめ上げられる。

「がっ……! ちょっと……苦しいんだけど……」

神崎はさっきから見せつけていた余裕の表情は崩れ欠けていたが、少しニヤけた顔で余裕を保とうとする。

「三度も言わせるな、つぎ変なこと吹き込もうとしたら顔だけじゃねえ、てめえの鼻の骨折るぞ……」

獅郎は神崎から顔を近づき強引に目線を合わせ、次に攻撃する箇所を宣告した後、投げ飛ばすかのように掴んでいた襟首を離した。

「あだっ! いたた……ヘイヘイわかりましたよ」

獅郎の恐喝から解放された神崎は再び余裕な表情を取り戻し、真堂に視線を向けて次に問うた。

「まっ、あまりにもストレート言い過ぎた俺も悪かったけどさあ、殴ることは無いんじゃない」

「ほっほう、そんなに殺されたいか……」

「ぐっ……ふふ……ニー」

「?」

指の間接をパキポキと鳴らす獅郎に神崎は少し後退りし、ニコやかな表情で手の形をピースに変え、二人に見せつけた。

「な……なにを」

さっきまで口を閉ざしていた真堂はやっと口を開いた。

「なかなかやるねぇ……でも次に学校で会う時は、できればもうちょっと平和的に話そうよ。じゃねっ!」

あまりにも勝手な発言にキョトンした二人は、そのまま黙って神崎の帰りを見送った。

「結局……なんだったたんだ? あいつ……」

「さあ……」

神崎が帰った後、真堂はまた新たなる謎を抱え込んだ。なぜ入りたての転校生が真堂の911の被害者だと知っているのか、それはとても偶然とは思えない、なにか仕組まれような運命の付け合わせに、真堂は知ることは叶わずに帰宅するのであった。

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