「昨日の残りの……ソーセージ、チャーシュー、ナルト、ほか多数……なに作ろうかな〜」
真堂は獅郎を家に招き入れた後に、冷蔵庫をあさりながら何の料理にするか迷っていた。
「俺はなんでも良いぞ〜」
椅子に座っている獅郎は偉そうに食卓にふんぞりかえっていた。
「偉そうだなぁ……」
「なんか言ったか」
「なんでもない」
「……一人暮らし、もう慣れたか?」
「え? ああ、大分慣れたね」
獅郎の問い真堂はなんなんく答えた。なぜそのような問いをしたのか、兄を亡くして一人暮らしをするようになってから一ヶ月半。真堂は生活にあまり苦労はしてないが、一人だという精神的な苦労が少し堪えたのか、今はこうやって獅郎を招き手料理をごちそうしようとしているこの状況に対しての問いたのだった。
「そうか……」
「家事とかの洗濯や掃除は大変だけど、食費にはあんまり困らない人生をおくってるよ」
「俺の予想だと、その食費に六割型カップラーメンで毎日を過ごしてんじゃねえのか?」
「うっ……なぜそれを……」
急所を撃たれたかのように、ひきつった表情を浮かべながら真堂は答えた。
「だってお前が料理しているところなんて、あんまり見たことねえもん」
「うぅ……今その料理を作ろうとしているんだろ。作業に入るからそこで待っててよ」
「ああ……なあ李玖……」
「どうしたの?」
キョロキョロと周り見始めた獅郎は、真堂にあること問う。
「今日、この家にはお前と俺しかいないんだよなあ……」
「どうしたの急に?」
「いいから」
「兄さんが亡くなってから、家にいるのは俺一人だけだけど……それがなにか?」
「いやな、この家に入ってからなんか『異様な気配』が感じんだけどよ」
獅郎は冷や汗をかきながら答えた。
「気配? そんなの感じなかったけど」
「泥棒でも入ってんじゃねえのか?」
「え〜、まっさか〜」
「本当だって、ちょっとそこらへん見てくるわ」
「まあ別にいいけどさ、壊れ物が多いからあんまりその辺の物とか下手に触らないでね」
「わかってるよ、「親父さんの部屋には入るな」って意味だろ」
家の中の探索を真堂は許可した後、獅郎は食卓を離れてすぐに行動に移る。
「見回りと言ってもどこまで見てくるんだろうか……?」
真堂は料理の準備をしようと昨日から貯めていた食器を洗いながら、獅郎のいき過ぎた探索をしないように祈った。
「泥棒なんていないし、ましてや俺と獅郎以外の人間なんて居るわけ……あれ……?」
自らの思考から何か引っかかりを感じた真堂は、食器洗いを一時中断し始め、何かを忘れているような気がしてしょうがなかった為、深く考え込む体制に入った。
(何か忘れているような……、ていうか俺の他に居る人といえば―――あっ!)
背筋からまるで電流が走ったかのように、真堂はあることを思い出した。
(まずい、獅郎を止めなきゃ!)
真堂が思い出したのは、兄の部屋に眠っているイエス・キリストのブロンズ像の中に入っていた謎の青年の事だった。