小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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(いつまでも起っても目が覚めないから忘れていたけど、あんな人を見られたら獅郎になんて言われるか)

もし見つかったらということを考えると、いざ説明する時の難しさと今まで隠し通してきたのがばれる時の恐怖に入り混じって襲いかかってくるはず。そう考えた真堂はすぐにでも獅郎に兄の部屋を見るのを止めようとするが―――

「獅郎! 兄さんの部屋は開けちゃ―――」

「なんじゃこりゃー!」

ばれてしまった。

「くっ、遅かったぁ!」

獅郎が思わず絶叫してしまった一言で、一瞬にして真堂は隠し通せなかった無念で胸がいっぱいになった。

「うぅ……」

ドアが開いた兄の部屋に立ちはだかっている獅郎の驚いた横顔を目撃した真堂は、とても残念な気持ちで唸る。

「り、李玖……お前この人を……」

真堂は何も答えることができず、戸惑っている獅郎は震えた手で布団に眠っている謎の青年を指差し、次のように答えた。

「………」

「寝倒したのか?」

「違う! 断じて違う!」

やっと口を開いた真堂は獅郎の思わぬ「ホモだったのか?」、あるいは「この人の純潔奪ったんか?」発言を否定した。

「じゃあなんだよ、まさか……拾ってきたとか言うんじゃねえだろうな」

「エヘヘ……半分正解」

獅郎の質問に真堂は苦笑を浮かべながら答えた。

「お前なぁ……、人間はダンボールに入っている捨て犬じゃねえんだぞ」

「いやあの……なんて説明していいのやら……」

一回食卓に戻って二人がマンツーマンで話し合った結果。真堂はかくかくしかじかとあの謎の青年について理由を話し、獅郎が聞いたところ話しの二割型信じなかった。

20分後。

「そうか、まさかあの教会の『ブロンズ像』を壊した犯人がお前だったとはなあ、そしてそのどこの馬の骨かもしらない男が、あのブロンズ像の中に入っていたとは……未だに信じられんな」

「……壊したんじゃなくて壊れた方なんだけど、ていうか俺が犯罪者みたいな言い方はよしてくんない、あの時突然のことだったからどうしていいのか分かんなかったんだよ―――はい『残り物チャーハン』お待ち」
あの出来事について言い訳をする真堂は、残り物でご飯を炒めた料理を獅郎に出して、倒れ込むように近くに置いた椅子に座る。

「ングング……うん美味い」

「ありがと」

「それで、どうするつもりなんだ?」

「ああうん。もうしばらくしたら警察か病院に引き渡そうと思う」

「そうか……あ!」

「どうしたの?」

「いやたいした事はないんだが、ここに移動する時に、お前の兄貴の部屋を閉めるのを忘れててな」

「ああ、それなら俺が閉めとくよ、獅郎は食べてて」

「そうか、悪いな」

真堂は気を使うように、獅郎の食事を妨げない為に兄の部屋のドアを閉めに行った。

(あれ……? そういえばあの男の顔どっかで見たような……)

獅郎はさっき見た謎の青年の顔を思い浮かべながら、自らの思考から引っかかっりを感じた事を心の中で呟く。

「あ、ホントだ閉まってない」

兄の部屋が開いている事を確認した真堂は、すぐにでも閉めようとドアノブを掴むと―――

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