「―――着ついたぁー」
なんとか授業までの時間にはついたが、後ろの席の獅郎から口元になにかの粘着性の音をたてる。
「獅郎……その口に入ってんの……なに?」
真堂は「まさか」と思い、獅郎に問いかける。
「何って? さっき食べた弁当だけど」
なにくわぬ顔で言った獅郎。
「早! あの短時間でどうやって完食したってゆうの?」
真堂が疑問に思うのは無理もない、なぜなら真堂が屋上で獅郎の居た事に気付かずにいた時、獅郎は空腹に我慢する事ができず、先に弁当を食していたのである。
「なるほど、どうりで気付かないわけだ……。じゃあ、昼飯食ってないのって……俺だけ?」
今さらのように答える真堂。
「そうだな……」
そして真顔で答える獅郎。
授業が始まるチャイムと同時に、真堂の腹の虫も鳴った―――。