授業が始まって三〇分が経過。
(腹へった〜)
腹の虫を鳴らしながらも授業に取り組む真堂。朝食を取っていなかった為もあり、顔が少し青ざめていた。
空腹に絶える事によって真堂の時間感覚がずれ始めていた、まるで一秒が一分のように感じてしまい、集中力もちょっとずつ切れ始めている事に気が付く。
空腹の上に朝食まで取ってないとさすがの真堂でも目の前がボヤけてよく前が見えなくかった。
(朝食……食べてくればよかったかな……)
そう心の中で自業自得のように呟く真堂。授業にも集中できずにただエンピツ片手にノートを書く振りをしながら、時計を見て授業が終わるのを待っていた。
そして、四時間目の授業は終わった。
(終わったぁ〜)
爽快感あふれる言葉を心の中で呟く真堂。
(……って、まだ五時間目の授業があったんだった……)
爽快感に浸るのはいいが、五時間目の授業があることを思い出した真堂、この後、空腹の常態で授業をどう切り抜けるかを考えようとする。
「うぅ……」
「―――李玖くん大丈夫? 顔、真っ青だよ」
「ん?」
真堂の様子に気付いて声をかけた少女は、中学に入ってから最初に知り合った石川岬(いしかわみさき)である。
「あぁ……石川さん。だ、大丈夫だよ……たぶん……」
下手な言い訳をする真堂。
「そんな事言ったって……顔真っ青だよ。よかったら売店で買ったサンドイッチ食べる」
「マジで!」
石川の手渡すサンドイッチに目を光らす真堂。やはり持つべきものは友達だと、今になって感心する。
その後、石川にもらったサンドイッチを食べてから空腹がまぎれ、五時間目の授業になんとか取り組めた。