「本当に……一人暮らしだったんだ……」
「うん、そだよ」
まさか本当にまだ中学生の神崎が、ごく普通のマンションで一人暮らしをしているとは思わず、真堂は言葉数を減らした言い方で内心驚いていた。
「ああ……」
「ホラホラ、そんなところにつっ立ってないでさ、早く入ろうぜ」
「お邪魔しま……す。んん!」
神崎の部屋に入ったところ、中の様子は数々の種類の電子機器が揃えられていて、デスクトップのパソコンはともかく、他にも目新しい物がたくさんあって真堂は思わず目が回りそうになる。
「ヌフフフ……ようこそ『俺の城』え」
「うわぁ……すっげー!」
神崎が少しキザな言い方をした後、あまりにも目新しく薄暗い秘密基地的な部屋の景色に、真堂は好奇心をくすぐられながら、置いてある電子機器を観察し始めた。
「アッハハ、そこまで気に入ってくれるとは思わなかったよ」
「どうしたのこれ!」
まるで新しいオモチャを買ってもらってはしゃいでる子供ように、真堂は神崎に問う。
「そう大した事じゃない。親父からいらなくなった物を、俺がちょっと手を加えて仕入れているだけさ」
「へー」
元々機会いじりが好きなことから、父親が故障した電子機器を捨てては治して自分の物にしており、神埼はそんなメカニックにたけている。そして日々その才能を伸ばしつつあり、いわゆる典型的なオタクである。
「一人暮らしていっても、ちゃんと自炊はできてんの?」
「そりゃできてるよ。これでも料理にもちょっと自信があるんだぜ」
神崎はメカニックおよび料理にも才能を開花させつつあった。
「そうか……」
「ところで李玖。さっき話した911の件なんだけど……」
「ああ……う、うん」
深刻な眼差しで話しの本題に入ろうとする神崎に、真堂は真剣な眼差しに表情を変えた。
「俺がどうして李玖が911の被害者だと知り得たのか、今その全貌を明らかにするけど……心の準備はいいかい」
「で、できてる」
そう真堂は言った時に、神崎はデスクトップのパソコンのスリープ常態を解除し、画面の左側に映ってる『WDF』というタイトルのファイルに、ダブルクリックをして開いた。
「えっ! これって!」