小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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夜。商店街。

「はぁ〜、なんか犯罪の共犯にされたような気分だなぁ……」

あのデータを見てから真堂は、気分的な犯罪者あるいはテロリストの常態に陥っていた。

「まあ実際にそうなのかそうじゃないのか、怪しいくらいなんだけど……」

悩みに悩んでもしょうがないと真堂は思えてきて、とりあえず持ち前のプラス思考で、心のモヤモヤをなんとか解消させられた。

「ん〜……それにしても、相変わらずここは賑やかたなあ……」

商店街の賑やかさを見て、少し気を紛らわせようとする真堂。

「ん……んん!」

暇潰しに商店街の市場を見回すと、真堂は途中で見覚えのある後ろ姿を目撃した。

「あれって……? 矢島さん?」

おそらく警察の事情聴取を終えて、今のように外を出歩いているのか、その見覚えのある後ろ姿の正体は、朝方に獅郎に屈辱的な大敗した『矢島戒斗』だった。

「あんなところでなにやってんだ……?」

商店街の道のど真ん中でふらふらと歩いている矢島を見て、真堂は不思議に思い彼の動向をたどろうとすると―――

「うわっ!」

急に向こうから突風が吹き荒れ、そのことで真堂は一時的に立ち止まっている状況にいた。だが向こうにいる矢島も被害にあっているにも関わらず、それを微動だにせずに前を歩いき続けていた。

(ヤバいっ……!)

必死に見失わないように目を細めていると、真堂は風でなびいてる矢島の上着の下に、なにか黒い塊のような物体が腰に引っかかっているのを一瞬見えた。

(なんだ今の……? もう一度)

風はまだ止まず今度は同じようにもう一度見ていると―――

「な! あんなの中学生が持っていい代物(しろもの)じゃないだろう……!」

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