小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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矢島の腰に引っかかってた黒い塊の正体は、警察官がいつも持ち歩いているくらいの拳銃だった。

(矢島さん。一体なにを!)

危険物を所持している矢島が、なにか犯罪を犯そうとしている気配がしたので、さっそうと真堂は彼の跡をつけるのであった。

(それにしても……、一体どこにいくつもりなんだろうか……?)

尾行するのはよかったが、どこかの店で強盗でもするのかと思った。だが矢島が歩いている所はいつの間にかあまり人気(ひとけ)が少ない、夜店がなん店舗かある路地裏に行き着いていた。

(人は……よし、いないな)

「ん〜……ん?」

「矢島さん……だよね?」

周りに人がいないところを見計らって真堂は、ヤンキー歩きの矢島を引き止めようとする。

「おめぇは確か……崇妻の―――舎弟(しゃてい)」

「いやいやチャウチャウ!」

「んだったらなんの用なんだぁ?」

矢島の思わぬ勘違いに真堂は間違いだというサインをだし、話しの本題に切り替えようとするが―――

「う、うん。あのさ……警察の取り調べってもうすんだの?」

「ああ、すんだけど……それがどした?」

「ああ……」

初めて矢島と話しをした事で、少し緊張気味な常態の真堂はゆっくりと呼吸をし、気持ちを整えた。

「あ?」

「ちょっと唐突だけど、こんな所でなにやってんの? 夜遊びするのにはまだ早いと思うけど」

呼吸をした為か、とても落ち着いた常態で真堂は矢島に問うた。

「んなの、どうだっていいだろうが。ただの散歩だよ散歩―――」

「拳銃を持ち歩きながら?」

「………」

真堂の冷静な発言で矢島は言い訳でも考えているのか、視線をそらして黙り込んだ。

「んな物騒なもん持ってるわけねえだろうが」

「そう、じゃあその腰にぶら下げている物はなに?」

「これか? これはなあ……こういうもんだ―――」

「!」

とぼけた口調で、矢島が腰に引っかかっている拳銃を真堂に見せようと、手に取ったその瞬間―――

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