小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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二時間後。

「ふぅー、つぎ李っちゃんどうぞ」

「分かった」

晩ご飯を済ませ、智美が最初に風呂に入り、次は真堂が少し遅い入浴をし始めようとしていた。

「あ〜、生き返る〜」

今日は一段と長く散々な一日を終え、真堂は極楽感を噛み締め、湯船に浸りながら発した声を室内に響き渡らせた。

(それにしても今日は大変だったな〜。そういえば名無しさん、ちょっと記憶取り戻したって言うけど、どんぐらい思い出したんだろうか……。あとで家族会議しないと)

顔半分を湯に潜らせ、真堂は後でアイスを食べながら名無しの記憶について、家族会議をする予定をたてた。

「さ、智美さん、いけませんって……!」

「いいじゃない、減るもんじゃいるまいし。それに、李っちゃんもいないことだし……」

「……ん?」

浴室の扉越しに微かに、智美と名無しの話している声が聞こえてきた。

「い、いけませんって」

「そんなこと言って、体は正直なクセに」

向こうではバスタオルを体に巻いている智美が、名無しを押し倒し、そのまま頬を紅潮しながら片手で硬直した秘部に添え、顔を近づきつつ口付けをせがもうとしてた。

「お、おれまだ風呂にも入ってないのに、そんな……」

「ウフフ……シャイなところも可愛いぃ……。ああ、もう我慢できない! いっただきま―――」

「―――しないって約束したよね……!」

「はっ!」

智美が真堂の目を盗んで、さっそく名無しを違う意味で食そうとしたとたん。急に冷たい視線が彼女の背中に突き刺さり、その視線の元えと向く。するとそこには下半身をバスタオルで巻いて、夜目が効いた猫のような目付きで姉を見る真堂の姿だった。

「り、李っちゃん……!」

「なにやってんの?」

「す、スキンシップよ」

「いや、もうスキンシップの域を通り越えてるから!」

なんとか誤魔化そうとする智美だが、明らかに淫らな体制を真堂にさらしていることでは、言い訳のしようがなかった。

「だってだって! 欲求不満なんだもん!」

「それでもダメ! つうかまともな言い訳ですらねえし!」

「じゃあさじゃあさ」

「なに?」

「李っちゃん代わりに相手してくれる?」

「バカですか?」

「別にやったっていいだろうがぁー!」

「逆ギレすんなぁー!」

かなり無茶苦茶な状況に、名無しはどう対応すべきなのか困っていたところ、完全にケンカの状態に入った真堂兄弟。この嵐が過ぎ去るまで、名無しについて家族会議は行われなかったという。
 一方、おそらく敵で戦いの途中で退場したアシュレイは―――

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