翌朝。同年。6月10日。木曜日。
「うぅ……」
真堂は今日の授業で英語の小テストをやった結果、少ししか問題の空欄を埋めることしかできず、故に唸っていた。なぜなら昨日の矢島の件で予習をする暇もなく、今の結果におさまってしまったからである。
「そんなに落ち込むなって李玖、俺なんて空欄ぐらい全部埋められたぜ」
「獅郎それぜんぜん慰めになってないから……」
ちょっとからかうつもりで言った獅郎だが、真堂はあまりの自分の情けなさに、ツッコミをする元気を無くしていた。
「元気出しなよ李玖くん。ほら『閃光の騎士シェザード』の四巻貸してあげるから」
気を効かした石川岬は真堂に『閃光の騎士シェザード』の四巻を手渡す。
「ありがとう石川さん。そうだ、こないだ貸してもらった三巻返すね」
真堂は石川の持っている『閃光の騎士シェザード』四巻と三巻を交換する。
「三巻の内容どうだった?」
「ん〜、そうだな内容では獅国の戦争が終えて、次の仕事を探す為に、国境紛争が絶えない大陸・帝国大陸に渡った話だね。その時に中小国の一つのザエル王国の王位継承戦争に巻き込まれた友人を助ける為に、シェザードがその戦争に介入したことが感心したな」
「そうそう、そのシェザードの友人っていうが、ザエル王国の第一王位継承者ロドリゲス・ビル=ザエルっていう、ひ弱な人が王位を継ぐと同時に弟の第二王位継承者ビスト・ベ=ザエルが、シェザードの宿敵・アトラス帝国と結託して反乱を起こしたんだよね!」
「うんうん、その反乱の鎮圧方法が一番印象深かったかな。シェザードがビスト率いる反乱軍が、アトラス帝国と内密に結託してたのを利用し、海外干渉を嫌っていた反乱軍にその証拠を公開して、内部闘争を引き起こしているスキに、閃光の騎士団が一気に反乱軍を鎮圧したんだよね」
「まあ最後に反乱軍の首謀者のビストが自害して、後味の悪い事になったけど結果的に短い期間で、友人とザエル王国の平和にできたんだからすごいよね!」
「おーい授業始めるぞ〜」
「あれ、もうそんな時間? じゃあ李玖くんまた感想聞かせてね」
楽しい事をしていると時間が早く過ぎるもの。一見、同好会みたいに話していると、次の授業が始まり、真堂がカバンから取った教科書を机に置くと―――
「李玖」
「ん、なに獅郎?」
「昼休みにちょっと話したい事があるから、ちょっと屋上まで来てくれ」
「?」
獅郎の誘いを受け入れ、三時間目が終わってから昼ご飯は屋上で食べることにした。