小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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6月13日。日曜日。教会。

「おお神よ、私のざんげをお聞きください」

ある日チリトリを横に置いた神崎洵が、倒壊したイエスのブロンズ像の前で膝ま着きながら、多分ざんげを言おうとしていた。

「この前、義理の母に電話がかかってきて「洵くん。最近あの人とご無沙汰なんだけど、今度いい……」みたいなこと言われたのですが、私はどうすればいいでしょうか!」

「洵……、そういうのは神頼みより、まず話せる人に相談しようよ。つうかそれ一般の人の悩みに対してハードル高すぎるから!」

瞬時に神崎の行動をボケだと認識した上で、ホウキをもった真堂はすぐさま精密なツッコミをした。

「あり?」

真堂のツッコミを受け止めた様子を見せる神崎。

「てめえコラ、サボってねえでさっさと働け!」

真堂と同じくホウキをもった獅郎は、神崎の様子を見て、遊んでると悟って激怒する。

「え〜、だって一度でいいからやってみたかったんだもん」

子供のような言い訳をする神崎。

 「次サボったら死刑な」

(なんかケンカになりそうだな……)

なぜこの三人は教会の中で掃除をしているのか、それは今から2日前までさかのぼる。

6月12日。金曜日。朝の学校のHRで、ボランティアの募集をしていた担任の杉山薫。その内容は「日曜日に近所にある教会の掃除をするボランティア」という、説明をしたところ、一人も手を上げずに参加するものはいなかったが、しばらくした後に真堂が手を上げ参加すると同時に、神崎もノリで参加することにし、獅郎は欠席が多く単位が足りない為に強制参加という形で決まった。
本当だったら休みの日に働くのはいやなはずなのに、真堂はなぜそういう単純な理由を捨ててまで、ボランティアに参加したのか。それは2ヶ月前に教会の中で壊れたイエスのブロンズ像の件(第一話参照)で、自分に責任があるという事を理由に参加したのである。

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