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希望ヶ峰学園――創立以来、とても優れた才能を持った人物を多く排出し続けている日本が誇る高校である。
この高校に入る条件はたった二つ、高校生であることと、超高校級と呼ばれる優れた才能を持っていることだけである。
しかし、そのような体制で続いてきたこの学園にもいよいよ限界が近づいていた。
少子化などの影響により年々入学者が減少していき、学園を運営していく資金が足りなくなってきたのである。
希望ヶ峰学園の卒業者はもれなく素晴らしい地位につく。
だから卒業後に学園に莫大な寄付金を送るOBも少なくはなかった。
だが、希望ヶ峰学園は才能の研究所でもあった。
金はいくらあっても足りないくらいだった。
そこで学園は考えた。
そして苦渋の決断のすえ、新たなシステムを生み出した。
それが予備学科である。
超高校級の才能を持たない者でも金さえ積めば入学することができるもうひとつの学科を設けたのだ。
その予備学科には学園の予想を遥かに超える入学希望者が現れた。
それだけ希望ヶ峰学園というブランド力は影響を及ぼしていたのである。
こうして特筆すべき才能がない高校生も希望ヶ峰学園の生徒になれた。
中には「希望ヶ峰学園で暮らせば自分にも超高校級の才能が目覚めるのではないか」なんて思う者もいた。
だが彼らは思い知ってしまう。
自分達には超高校級の才能なんてないし、目覚めもしない。
ただ才能がある本科のやつらのために搾取されるだけの存在なのだと。
彼らは後に、ある人物を妄信的に崇拝し学園に対してクーデターを起こすこととなる。
それは希望ヶ峰学園を起点とした世界崩壊の第一歩となるのだが、そのクーデター発生の少し前には一人の少女の物語があった。
それは絶望に至るまでの道を辿った物語。結末には光などはない……。