小説『ゼツボウロジック 〜西園寺日寄子の場合〜』
作者:かりべ?()

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「あ、霧切ちゃん! なんか分かったの!?」
「ええ、いったいどこの誰が予備学科に異動してしまったのか、そこまでは判明したわよ。もちろん、それが誰かは言わないけどね」
「さすが霧切っちだべ!」
「ああ、我らだけではこんな簡単にいかなかっただろうな……」
「で、肝心の予備学科に異動となった理由ですが……それはまだのようですわね」
「ハアア!? それが分からなきゃ話になんないじゃねーか! いったいどんな絶望的理由なのか、さっさとハッキリさせろよ! ファック!」
「ずいぶんと手痛い事を言ってくれるわね……。確かにその理由についてはまだ分からないけど、その異動となった生徒を調べているうちに、別の事件に当たったわ」
「別の事件ってなんだべ?」
「ついこの間起こった"あの事件"……この希望ヶ峰学園で起こってしまった忌まわしい事件の事よ」
「もしかして、希望ヶ峰学園女子生連続殺人事件のこと!?」
「ええ、その事件で2人目の犠牲者となったという女子生徒と、今回予備学科に異動した女子生徒は同じ友人グループに属していたそうよ」
「犠牲者は2名……そのうちの後者の方と予備学科異動者は親しい間柄であった……まさかそれだけで関連があるとは言いませんわよね?」
「もちろん、その事実だけなら今の2年なら誰でも知ってる事じゃないかしら? 問題はここから、最初の犠牲者と2番目の犠牲者、他人同士の彼女らの間には共通の知人がいたのよ」
「その知人が予備学科異動者ってこと?」
「いえ、ただその予備学科異動者とも結びつく人物なのよ。その人物も先程言ったグループに属していた者なの」
「なんだか、頭がこんがらがりそうな話だべ……。もっと分かりやすく話してくれー!」
「分からないのなら黙っててくださいません?」
「霧切よ……まさかその人物とやらが事件の犯人とでも言いたいのか?」
「でも確か犯人は学園外部からの侵入者って話じゃ……」
「私の話はあくまで仮説よ。私自身、そうだと断言なんかはしないわ。ただ、疑わしいのは確かね」
「……なんだかとっても面白い展開じゃない!? 生徒1人の絶望に留まらず、まさか未解決事件という絶望にまで至ってしまうなんて……! 霧切さん、引き続き捜査お願いね! 報酬は弾むわよ!」
「あまり乗り気はしないのだけれどね……。この件は思った以上に闇が深そうよ」
「……なあ、朝比奈っち。霧切っちへの報酬ってなんなんだ? 霧切っちは、乗り気じゃない他人を探る依頼は基本断るとおもうんだけどな……」
「ああ、それはね……」
「ふんふん……って、ハハハハハ! 霧切っち、苗木のメアドなんて、そんなんわざわざ俺らに聞かんでも本人に……」
「……大神さん、そこのバカを少しシメてくれるかしら」
「よかろう」
「なあ!? か、勘弁してくれ! オーガのシメるは冗談ですまな……ぎゃあああああああああああああああ&#8252;」
「はあ……本当に葉隠はデリカシーないね……」
「自業自得ですわね……」

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