小説『ソードアート・オンライン stylish・story』
作者:アカツキ()

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第二十二話 二人の娘!?

第二十二層 コラル

シリカとの余興を終えて数週間後、シュウはキリトとアスナが気になったのか久しぶりに二人に会おうと面会のメッセージを飛ばし、居場所を確認したが・・・

「何でこんな森の中に二人でいるんだ?レベルが俺に近づいて来ている二人にとっちゃ、ここは何の意味もねぇ筈なのによ」

確かにキリトとアスナのレベルはシュウ同様に90以上になっていた。そんな二人がこんな低レベルのエリアに滞在している事は不思議なことだった。
そして足を進めていくと目に入って来たのは木で出来たログハウスのような一軒家だった。

「ここ・・・だよな。あいつ等一緒に暮らしてんのか?」

シュウは疑問の念を抱えながら、その家の出入り口をドアをノックした。そしてそれに答えるかのように声が聞こえてくる。

「は〜い」

「俺だ、アスナ。久しぶりに会いに来たぜ?」

シュウの声を聞くとゆっくりとドアが開き、そこからアスナが出てきた。

「いらっしゃい、お兄ちゃん」

「暫く見ねぇ間に良い表情になったな?アスナ」

その表情はSAOにインする前にはあまり見せたことが無かった曇りの無い笑顔だった。それを見たシュウは安堵の心を抱く。シュウはアスナの笑顔を取り戻そうとしてきたが叶わないものだったが、今ではそれが目の前に広がっていた。

(キリト・・・感謝するぜ!やっぱりお前はアスナの殻を打ち砕いてくれたみてぇだな)

「どうしたの?」

「何でもねぇよ。それより・・・」

シュウはアスナの左手の薬指を見る。アスナの指にはSAOでも出来る結婚の象徴・・・指輪が填められていた。
これを見たシュウは一つの事を想起させる。

「アスナ。お前、キリトと結婚したのか?」

「えっ!?あ・・・それは」

「別に恥かしがる事じゃねぇだろう。寧ろ俺は嬉しく思うぜ?お前に心を開けるような大切な存在が出来たんだからよ」

人と付き合う事を頑なに拒んでいたアスナが自ら心を開く事は滅多になかった。しかし現にアスナはキリトに心を開いている事はシュウにとって・・・兄にとってこの上ない事だった。
アスナは少し顔を赤らめ、黙ると口を開く。

「うん。キリト君は私に大切な事を教えてくれた、かけがえのない人だから」

「そうか。少しキリトと話がしてぇんだが入って良いか?」

アスナの了承を受けたシュウは玄関から入り、キリトが居るはずのリビングに赴いたが、そこにはキリトの隣に一人の黒髪の少女が座っていた。シュウを見た少女は指差しながらキリトに尋ねる。

「パパ。この人、誰?」

シュウは少女の『パパ』と言う単語に驚きを隠せないのかキリトの迫る。

「おい、キリト。今、この娘がパパって言ったのは気のせいか?まさか、お前にそんな趣味が・・・」

「シュウ!誤解だ!!これにはちゃんとした訳があるんだ!!」

キリトがシュウの解釈に突っ込みを入れながら少女・・・【ユイ】の説明を始めた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「なるほどな。フィールドに倒れていた所を二人が助けて、目が覚めても自分の名前以外の事は覚えていないと。そして寂しいのかキリトをパパ、アスナをママと呼ぶようになったって訳か」

シュウはアスナが淹れてくれた紅茶を口にしながらキリトが説明してくれた事を復唱する。しかしシュウには疑問な点があった。それはキリトとアスナも気付いていた事なのだが、カーソルが表示していない事だった。
本来ならプレイヤーやNPCにはカーソルが表示されるのだが、ユイにはそれが表示されていなかった。イベントクエストならまだ話は分かるが、そんな情報は一切聞いていなかった。

「んで、これからどうしようとした時に俺が来たって訳か。なら第一層の『はじまりの町』に行ってみたらどうだ。あそこにはプレイヤー情報が・・・ユイの事が何か分かるかもしれないぜ?」

「はじまりの町か・・・確かにあそこなら何か分かるかもしれないな?アスナ」

「うん。ユイちゃんを早く両親の元に返して上げたいからね」

キリトとアスナが話し合っているその間にシュウはカップをテーブルに置くとユイの元に近寄り、目線を合わせるようにしゃがむ。

「自己紹介がまだだったな。俺はシュウ。君のママ・・・アスナの兄さんだ。よろしくな?ユイ」

「シュ・・・シュー?ママの・・・お兄さん?」

「そうだ。俺の名前が難しいなら好きに呼んで良いぞ?」

シュウはユイの頭を優しく撫でながら、笑顔で接する。すると・・・

「う〜ん・・・おじさん?」

ユイの『おじさん』と言う言葉を聞いて、シュウは勢い良く滑り、後頭部を地面にぶつけ
ると大の字に倒れ付す。
それを聞いていたキリトとアスナは笑いを堪えていた。しかし耐え切れなくなったのか笑い声を張り上げる。そしてユイ一人がどう言う事なのか分からずに首を傾げていた。

「シュウが、おじさん・・・くっあははは!!!」

「ダ、ダメだよ・・・キリト君。お兄ちゃんに失礼・・・プッククク!!!」

「笑い過ぎだ!お前ら!!俺はまだそんな歳じゃねぇぞ!!!」

シュウは今現在では二十歳であるため、どう見てもおじさんと呼ばれるのは少し早すぎるのか心が痛むみたいだった。
シュウは飛び起き、キリトとアスナ握り拳を作りながら二人に言い聞かせる。そしてユイに再び、目線を合わせる。

「ユイ・・・だったな。俺の事をそう呼びたいのか?」

「うん。ダメ?」

「・・・分かった。それで良いぜ」

シュウも幼いユイに無理強いを強いる訳にも行かないのか、それを了承した。それを聞いたユイはシュウに笑顔を見せた。

「おじさん♪」

「・・・これは慣れるのに時間が掛かりそうだぜ」

シュウはフウと溜め息を付くとキリトと二人っきりで話がしたいのかアスナにユイと一緒に一旦退出して貰った。そして面と向き合い、真剣な表情を浮べながら、話を始めた。

「アスナと結婚したみてぇだな?キリト」

「ああ。シュウに伝えておいた方が良かったのか?」

「まあ、少し驚いたが相手がお前だったし、良いってモンだ」

シュウはキリトとアスナの結婚を反対する気は毛頭無かった。アスナの心の殻を砕いてくれたキリトならそれを許せるのも容易な事だった。そしてシュウはキリトに感謝の言葉をかける。

「ありがとな?キリト。あいつの殻を壊してくれてよ。俺に出来なかった事をお前がやってくれた・・・これ以上の喜びは俺にはねぇよ」

その表情にはアスナの一人の兄としての面影が出ていた。それを見ていたキリトは自分の意見をシュウに言い聞かせる。

「俺はただ、アスナと一緒に居たい・・・守りたい・・・そう思っていただけだ」

「そうか。アスナの事・・・頼んだぜ?お前になら安心して任せられるからよ?」

「そこまで言われたら俺も頑張らないとな。アスナの夫して」

そしてその後はアスナが久しぶりにシュウの料理が食べたいと言い出したため、シュウの手料理を昼食として4人で振る舞ったそうだ。

(後書き)

感想と指摘。よろしくお願いします!!

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