「歩いてきた? 頑張ったねえ。クーデターが起きて若い王がこの町に逃げ込んだんだがそれ以来下の国へ行けないようになってな」
上の階についてもソレーは聞いてみる。
「それは国家機密だからなあ」
それ以上は教えてくれなかったけれど八百階の人がその代わりって郵便スロープで「暗闇街」まで帰してくれた。
「ひゃー、気持ちいい」
アザだらけになったけど階段で戻るより疲れないし早くていいや。
「いい天気なのに稼げないのは……イテテテ」
わかったのは自分ではどうもならないということ。結局頂上(うえ)も地下(した)も確かめられなかった。
「異邦人だった師匠は外の世界を知っていたのかな……」
ソレーが空を見上げるとタンポポの綿毛が少なからず飛んでいる。
「ああ、今日もたくさん飛んでいるなあ…」
ソレーが解決方法を閃いた。
「……――そうだ!!」
塔の下へあの種みたいに降りれるじゃないか! 掃除婦さん・ガス灯の点灯夫・風力発電技師・空中庭園のお兄さん・郵便局員(ポストフ)さんに協力してもらう。
掃除婦「いきなりどうしたんだい? ほらボロ布持ってきたよ」
お兄さん「落下傘か!」
点灯夫「良いアイディアじゃ」
ソレーはみんなの善意に感謝を述べた。
技師「ちょっと待てオイ。塔の周りは海なんだって聞いたぞ?」