聞き慣れない言葉にこの場にいる全員が目を丸くする。その後の反応はさまざまだ。
ポストフ「……ウミって何ですか?」
お兄さん「この裏の池よりもっと大きな池さ」
掃除婦 「降りたらドボンだね」
技師 「エーッ、ちゃんと床があるに決まっているじゃないか」
点灯夫 「その目で見ずには語れまいよ」
技師 「そりゃ雲で隠れて下は見えないけどさ……」
いろんな意見が出るのはいいが、話がまとまらないのでソレーは困惑した。
「…………うーん」
そして僕は相変わらず「暗闇街」に住んでいる。
「ソレー、郵便だ。少年?」
「はーい、居ます」
ソレーは地下についての資料に隠れていた。
「おっ、結局続けんだな」
「ハイッ!」
『暗闇街』と一緒で雲の下のことはまだ闇の中だけど。
「サバクとかでも困るよなあ……」
『空中庭園街』までの階段を昇る時、いつも思うんだ、暗闇は僕の一歩で必ず抜けられるってこと。
「眩し……」
空中庭園街は屋外のように創られているので光を眩しく感じる。一つだけ変わったのは泳ぐ練習を始めたこと(ウミへの備え)、毎年種を飛ばすあの花のように。僕はこれでなかなか諦めが悪いのだ。