ルベーの交渉術に、こういうことに疎い卓樹がビックリする。
(魔法使用料!?どんだけ取る気だ!?)
「六十四ギルド」
イールさんが主人の横暴を止めようとしているのだが止まらない。
(ぼったくってる!!)
お金の単位について卓樹はキョトンとし、那砂が冷静に返した。
「…………ギルド?」
「円しかないぞ」
「えん?」
反対にルベーもこちらのお金の単位がわからない様子でイールさんに聞きに行く。
「イール、えんでも大丈夫か?」
「はい。換金してもらえますよ一円が約十二ギルドです」
別にいいけど、イールさんとルベーのコソコソと話している内容は丸聞こえだった。ルベーは計算が得意ではなさそうに「いちえん」「じゅーに」「ろくせん」などもしかしたら無意識につぶやいていたかもで考えがまとまったようであった。
「七十円!! ってトコかな」
どういう計算をしたらその答えにたどり着くかわからないが、ルベーが自信たっぷりに間違えた答えを言う。
「五百円です、ルベー様」
「いいの!! 七十円だもん」
「いいですかルベー様、六千を十二で割るときは」
「七十円っていったら七十円ー!!」
ルベーがお馬鹿な一面を見せて、イールさんが苦労しているのを見ながらも卓樹は二人の給料について考えていた。
(どっちにしろ安いな……)