マツばぁの様子がおかしかったので確認する聖一。
「これ絶対詐欺だから」
「……さぎ?」
電話の子機を貸してもらって電源を聖一は切った。マツばあの手を握って聖一は落ち着くように言い聞かせている。
「最近物騒だからむやみに人を信じるなよ」
「うむ……」
「振り込め詐欺とか聞くだろ?」
「うむ」
俺は騙されてしまって落ち込んでいるマツばあの背中を軽く叩いてあげながら説明を続けていた。
「ほら最近幼女誘拐事件だってあったしさ」
「う……」
返事をしかけたマツばあは疑問に思ったことを聞く。
「それはわしには関係なくないか…?」
「そ――――――いう危機感のない子が狙われんの!! わかる!? そもそもマツばあはすごく可愛いと自覚して――――」
「? ?」
マツばあは自分が何故こんな事を聞かされているかわからなかったのが、その異様に熱のこもった説教は夜まで続いた。
とっぷりと夜の時間になって風呂に入り終えた俺はマツばあに声をかける。
「マツばあー、風呂空いたぞー」
呼んでも返事が来なかったので俺は台所で新聞を読んでいたマツばあの近くで声をかけ直した。
「マツばあってば。聞いてる?」
新聞から目を離し、顔を聖一の方へ向けて、そうび老眼鏡をかけたマツばあが今気づいたかのように尋ねる。
「おぉ何じゃせーいち出てたのか」
何だか眼鏡姿のマツばあが可愛すぎて俺は自分の携帯のカメラ機能を連写しまくってしまっている。
「マツばっ、メガっメガネっ娘ばあ!!」
「そんなに撮る程眼鏡が珍しいのか!?」
聖一があまりにも写真を撮るのでマツばあはビックリしてしまっていた。