マツばあは聖一に抗議しながら机を叩いた。
「何が楽しみなんじゃよ、もーっ」
「やべっ、口に出てた?」
俺は核心に触れられて失敗したとバツの悪い表情になる。
「ふんっっ」
マツばあの機嫌を損なわせてしまったようである。
「!?」
自分のせいとはいえ、俺はマツばあにそっぽを向かれて最悪という表情になった。
「マツばあ、ごめ……」
俺はどうしようかと迷ったあげくに許してもらえるかわからないものの、とにかく謝ることにする。
「ところで聖一、飯はまだかのう?」
さっきまでの記憶がまるでなくなってしまったかのような痴呆症予備軍状態のマツばあに俺はそう聞かれる。
「……さっき食べました」
そっぽを向かれた時の悲しさは残っていたが、俺はいろいろと世話をする日は近そうだ…!と思った。
マツばあに洗面所の場所を教えて欲しいと言われたので、俺は廊下に出て案内をしてあげることにする。
「せーいち、洗面所ってどっちじゃっけ?」
「さっきも行ったろ?」
洗面所についた俺はマツばあに新しい歯ブラシを用意するかどうかを尋ねる。
「そだ、新しい歯ブラシとか要るか?」
俺の問いかけにマツばあは特にいらないと答えた。
「自分のがあるから平気じゃよ!」
俺が見ている前でマツばあが口から入れ歯を外す。そして入れ歯洗浄剤を入れた専用のコップにマツばあが入れ歯を入れるのであった。俺はどうしても慣れない(慣れたくもないけど)