小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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      『宇宙のあわわ』

 ここは地球より少し離れた所にある星(光年で二〜三光年だとしたら遠いけど)太陽が見えない代わりに一日中、月が星を照らしている場所だ。主人公の私はツインテールで幼い顔立ちが印象的だとよく言われる。私は最近この星に引っ越してきたばかりなので何を見ても新しい発見がある。これから新しい学校に行くのに高揚感に浸ってしまうくらいだ。そんなワクワク気分でいる私に声をかけてくる男性がいた。
「あの・・・」
「ん?」
 帽子・サングラス・コートで身元を分かりづらくした露出狂であった。
(チカンは地球とあまり変わらないんだな)
 見たくないものを一瞬見せられた嫌悪感を覚えつつも、当然その場から尋常じゃないスピードで私は去っていった。


 地球の感覚でいくと、遅刻要素の多い陽暗(ようあん)星。そこの中学校の転校生として私はやってきた。
「転校生の張山バラーさんです」
 第一印象が大事とばかりに私=バラーは元気良く級友になる人達へ挨拶をする。
「学校のことならクラス委員に聞いてね」
 先生に紹介されたクラス委員がバラーに挨拶を返してくれた。フランス人形見たいと表現したらいいんだろうか。
(わわー、凄いキレイな女の子だよー)
「夢魔君、張山さんをよろしくね」
 担任の先生の紹介に私はすごく驚いた。
「えっ、君(くん)!?」
 見た目や仕草が女の子なので全くそうは見えない。声変わりでもしていれば別かもしれないが声質で判別も難しそうである。
「いやん、ちゃん付けで呼んで下さい」

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