「〜っ」
急にマツばあが涙を流したので俺は動揺した。
「えっ!? どっ、どうした!?」
オロオロしながらも俺はマツばあに原因になりそうなことを訊いた。
「どっか痛いのか?」
俺の質問にマツばあが泣き笑いの表情で否定しながら、嬉しい気持ちを表現してくれた。
「ちがっ……嬉しいんじゃよ。『長生きして』なんて……わしは幸せ者じゃのう」
俺はマツばあの可愛らしさにやられる。
「……マツばあ……」
「……せーいち? 鼻血が?」
「いや! 思わず萌……」
恥ずかしいことを言いそうになった俺は、鼻を手で圧迫しながら苦しい言い訳をした。
「もらい泣きならぬもらい鼻血です!!」
マツばあがとりあえずの目標として長生きの年を宣言する。そんな姿を俺は何とも言えない心境で見つめているのだ。
「よし!」目標が出来た! せーいちが結婚するまでは長生きするぞい!! じーさんの分まで見届けるんじゃ!!」
「結婚て……」
急にマツばあが恋話をしてきたので俺は驚いた。
「せーいちじゃって年頃じゃし、好きな娘位は居るんじゃろー?」
「すっ……!!」
この気持ちは伝わらないとわかっていながらも俺は告白するしかないとマツばあに伝える。
「ま……マツばあだよ……!!」
当然なこととはいえ、マツばあに本気で取ってもらえなかった。
「もーっ、せーいちったら! 年寄りをからかっちゃいけませんっ」
祖母との恋はいろいろと戦いだ……!!